多くの西側諸国が兵士を移民に頼ることになると
背景には正式国籍の早期取得があるも
米大統領選を意識した記事なので要注意も
2024年10月22日付DefenseOne記事は、米陸軍担当官と大学研究者による米国とカナダ人対象調査の取りまとめ共同研究によれば、米国への移民は米国生まれの人よりも「国のために戦う」意欲が高く、軍の新兵募集難への対処議論や、移民問題をめぐる米大統領選挙のレトリックや誤報に満ちた論争に一石を投じるものだと紹介しています。多分に反トランプ&親ハリスを感じさせる記事ですが、西側全体の課題ですのでご紹介しておきます
調査を行ったのは米陸軍(Kenneth G. Verboncoeur)、ユタ大学(Christopher Simon)、ワシントン州立大(Nicholas P. Lovrich)、シッペンズバーグ大(Michael C. Moltz)研究者で、独自のアンケート調査に基づくものではなく、2024年を含む複数の官民の関連調査結果から、回答者の個人属性、宗教背景、国家への誇りや忠誠心等に関する質問への回答を抽出して取りまとめ、9月号の「Armed Forces & Society」に掲載された分析だと記事は紹介しています
調査結果として4名の調査実施者は・・・
●米国の回答者の約60%が自国のために戦う意志を示しているが、移民は米国生まれの市民よりもその傾向が30%近く高かった。移民は、対象国生まれの国民よりも社会意識が高く、公務に熱心である。もちろん背景には、軍務が合法的な対象国への帰化手続きを早める手段として長年利用されてきた事実がある
●移民の軍務に対する意欲の強さは、軍隊に対する親近感(affinity)の強さより、移民対象国への親近感の反映で、対象受入国との結びつきを求める気持ち(willingness to fight is associated primarily with building civic connectedness)の表れとも理解される
●多くの西側諸国軍隊は、今後の人口動態予想から、より多くの移民を募集することになるだろう。志願兵制の西側主要国軍隊を悩ませている新兵不足は、軍隊維持の懸念を引き起こしているが、人口高齢化に直面しする多くの先進国は、新兵募集不足への対応として移民の若者に増々頼ることになろう
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2024年10月のこの記事はこの後、一般的に入隊が許可されていない不法移民だけでなく、トランプ大統領(記事が出た当時は大統領候補)が合法移民の一部(犯罪者や反米活動者)の大量強制送還を強く主張していることに言及し、軍務を通じて米国社会に馴染もうとしている移民社会には受けが悪いだろうと主張しています
しかし、トランプ大統領が就任し、不法移民や犯罪を犯した合法移民の強制送還に動き出している現在の状況はどうなんでしょうか? 米国での安定した生活を求める移民の人たちにとって、米軍勤務はより魅力的なものとなっているのではないでしょうか?
移民の最近の応募状況について情報はありませんが、米空軍に関して言えば、過去18か月間の募集は大変好調で、目標を順調に達成していると2月25日付米空軍協会web記事は紹介しています。
DEI政策(diversity, equality, inclusion, and accessibility:多様性、平等、包摂性)の徹底排除も米軍内で進み、その恩恵で昇任したといわれる高級幹部に大量「クビ」宣告が現実に始まった今、米軍の新兵募集の現場にどのような変化がみられるのか、本当に興味深い実験だと思います。日本のメディアは「ネガディブ」な結果であれば取り上げるでしょうが、まんぐーすは淡々とご紹介したいと考えています。
合法移民へ猛烈募集アプローチ
「米陸軍と米空軍の取り組み例」→https://holylandtokyo.com/2023/06/16/4743/
ジャマイカを筆頭に、メキシコ、ハイチ、Nepal, Nigeria, Ghana, Cameroon, Colombia Dominica, Kenya, Philippines, Russia、South Africa等々からの入隊者が・・・
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