3年ぶり米海兵隊が航空戦力計画を発表

F-35導入の総機数は維持しつつ、B型機数減でC型増へ
F-35飛行隊規模を10機から12機に拡大
他軍種に比し圧倒的に少ない無人機数は維持の?

2月3日、米海兵隊が2022年計画から3年ぶりに新航空戦力計画「2025 Marine Corps Aviation Plan」を発表し、「F-35導入の総機数は維持しつつ、B型機数減でC型増加」、「F-35飛行隊規模を10機から12機に拡大」、「他軍種に比し圧倒的に少ない無人機数に言及少なく維持?」等の内容を明らかにしました

新計画は「分散型航空運用 (DAO) と意思決定中心型航空運用 (DCAO) を優先し、厳しい環境下での作成運用効率を保つ近代化戦略Project Eagle導入」を打ち出し、「AI 駆動の意思決定ソフト、自律システム、高度なデジタル指揮統制機能、無人システム、有人無人チーム融合などの先端技術を全面採用することで、ますます複雑でダイナミックな作戦展開で有利に立つ」ことを狙っていると説明しています

2025計画を取りまとめたBradford Gering海兵航空隊副司令官(中将)は「(今後15年間の海兵隊航空の戦略的方向性である)Project Eagleは、海兵隊が頼りにする航空能力の将来方向を示し、複数のプラットフォームが移行する中、戦闘指揮官が必要とする持続的な射程と殺傷力を提供するため、固定、回転、無人艦隊の近代化を継続する」と同計画文書の中で述べています

具体的には・・・
●F-35購入総数は420機を維持しつつ
●353機導入予定だったF-35Bは280機へ減
●67機導入予定だったF-35Cは140機へ増
●この結果、12個のF-35B飛行隊と8個のF-35C飛行隊編成に
●1個F-35飛行隊の規模を10機から12機に拡大

2025 年の計画では、次の優先事項を強調
●即応態勢確保(Aviation Readiness): 海軍航空隊が、国家要請に対応して迅速に展開し、即時に能力を提供可能な態勢を整え、あらゆる危機への即座対応態勢を維持
●機動性の強化(Enhanced Expeditionary Mobility): MV-22B オスプレイ、CH-53K、KC-130Jなどのプ機動性を支えるアセット近代化を通じ、厳しい分散運用拠点からの厳しい運用を支援強化し、海上および沿岸作戦での機動性と兵站支援を確保

●維持整備体制の近代化(Modernizing Aviation Logistics): 保守運用センターの創設、サプライチェーン改革、航空機関連兵站物流の強化を通じ、維持整備体制を近代化し、厳しい環境下での即応性を確保し、海兵隊全体の維持整備体制が改善されるとともに、前線分散運用(DAO) および MAGTF運用をより適切に支援
●指揮統制システム (MACCS:Marine Air Command and Control System Modernization) の近代化: 地域防空コンセプトの統合で遠征前進基地作戦 (EABO) への支援体制を強化するため、TPS-80 レーダーや地上配備防空システムなどの先進技術を航空指揮統制機能に結び付け、共同作戦および連合作戦のデジタル相互運用性を強化

●総合戦力統合:特に第4海兵航空団(4th Marine Aircraft Wing)の編入で現役軍と予備軍の連携を強化し、海兵隊戦力全体の運用柔軟性、持続性、戦闘準備と即応態勢を強化

2月4日付DefenseOneは専門家の意見を紹介し・・・
●米海軍が空母艦載用に導入しているF-35Cの追加購入決定は、「空母搭載作戦のさらなる優先化」と、インド太平洋地域の部隊とF-35Cの統合を迅速に進めたいという願望を示唆している
●ただし、2年前のDavid Berger前海兵隊司令官の時代には、F-35のコストと脆弱性から、同機が「Force Design 2030」には適さない可能性があると示唆していたが、2025計画にはF-35購入規模の削減が含まれていない。これが何を意味するのか不明

●また、かつて海兵隊は、航空機の4割が無人機になると見通しを説明していたが、この計画には無人機の増強購入計画が含まれていない。現在、陸軍には約200機、空軍には約250機のMQ-9があるが、海兵隊にはわずか18機しかないのに。これも意味不明だ
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F-35削減を示唆していた前David Berger 海兵隊司令官の後任者は、Berger前司令官時代に発表された海兵隊改革方針「Force Design 2030」を副司令官として実質的に取りまとめたEric Smith海兵隊大将で、海兵隊改革を実現するために就任した人物ですから、なぜ「F-35導入の総機数は維持しつつ、B型機数減でC型増加へ」の方向に落ち着いたのか興味津々です

また無人機導入について言及がない点も、その背景や考え方など、今後フォローしていきたいと思います

米海兵隊の2025 Marine Corps Aviation Plan概要説明ページ
https://www.marines.mil/News/Press-Releases/Press-Release-Display/Article/4047771/deputy-commandant-for-aviation-unveils-2025-aviation-plan-reinforcing-future-re/#:~:text=The%20Aviation%20Plan%20introduces%20Project,operational%20effectiveness%20in%20contested%20environments.

現物(44ページ)2025 Marine Corps Aviation Plan
https://media.defense.gov/2025/Feb/03/2003636520/-1/-1/0/2025_MARINECORPSAVIATIONPLAN.PDF

前Berger海兵隊司令官はF-35削減を示唆していたが
「米海兵隊F-35調達削減の予兆」→https://holylandtokyo.com/2022/01/17/2586/
「Force Design 2030発表」→https://holylandtokyo.com/2020/03/26/790/

前線の海兵航空部隊指揮官が語る
「F-35最新型開発遅延と海兵隊への影響」→https://holylandtokyo.com/2025/01/29/10591/

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