ミサイル防衛の対処が 60-120秒遅れる
潜水艦探知センサーの機能妨害の可能性
原子力発電所建設で将来不足分を補充と
11月11日付 Defense-News は、スウェーデン政府が同国のバルト海沿岸で計画していた大規模な洋上風力発電計画を、対ロシアの国防上懸念から中止決定したと報じ、ロシアからの天然ガス等供給低下でエネルギー価格が上昇する対策として、原子力発電所の増設で対応するとの同国方針を伝えています
中止決定された大規模な洋上風力発電計画は、ストックホルム北東付近からデンマークのコペンハーゲン沖までのバルト海沿岸に沿った約700kmの範囲に、13か所で大規模洋上風力発電施設を設ける計画で、ロシアのウクライナ侵略以前には、民間プロジェクトとして淡々と進んでいましたが、スウェーデン国防上の懸念から大きな決断に至ったとのことです
同国のJonson 国防相は「X」に連投し
●風力発電所が国防に重要なレーダー信号を妨害し、状況把握に必要な信号の質を低下させたり、信号を遮断する恐れがあり、建設はスウェーデンの安全保障にとって受け入れがたい結果をもたらす
●風力発電所は、情報収集能力の低下や潜水艦探知用のセンサーへの妨害にもつながる可能性があり、例えば風力発電所が邪魔になると、ロシアからのミサイル攻撃への反応時間が 120秒〜60秒遅れる可能性がある
●特に、建設予定地と重武装化されたロシアの飛び地カリーニングラードとの近さが、この文脈では重要だ
米国の専門家は・・
●Sandia 国立研究所の風力発電干渉緩和責任者
・風車は民間航空管制、気象予報、国防任務を妨げる可能性があり、問題緩和のため多様な対策を試験済も、「特効薬」はない。風車へのレーダー吸収コーティングは高価で、死角の問題が残る。 一時的な停止は風力発電所の運営者に損失をもたらす。
・特に見通し線外の探知を狙うOTH(Over-the-horizon)レーダーは、電波を電離層で反射させて遠方に届かせる仕組みだが、地表の風力発電所が邪魔になり、電波が遮断される可能性があり、建設しないことだけが唯一の緩和策
・影響を受ける米国防省、連邦航空局 FAA、米国気象機関NOAA等は、新しい風力発電所建設の承認に関わっているが、風力発電所の提案を即座に拒否出来たケースは1件もない。利害関係の調整のための粘り強い協議を重ね、風車配置を調整したり、サイズを微調整したりするのが一般的なやり方
●米国エネルギー省の広報担当
・風力発電プロジェクトの大半はレーダー任務に重大な影響を及ぼさない
・ただし、発電風車が高速で回転していることで、風車からの電波反射を制止物体からの反射ノイズとして除去することが技術的に難しく、ドップラーレーダーでも移動物体として探知してしまうことは確か
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中止された大規模風力発電計画の概要、スウェーデン国防相が「X」投稿しているカリーニングラード配備のロシア兵器の脅威、潜水艦探知用のセンサーへの妨害など、いろいろと確認不足で良く分からない部分がありますが、
申し上げたいのは、環境先進国とのぼんやりとしたイメージのある北欧の雄スウェーデンが、風力発電から原子力発電への切り替えを決断し、脱炭素至上主義の風潮を見直している点です。
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