20名のワクライナ人がアイダホ国立研究所で
核鑑識は「nuclear forensics」と呼ぶそうです
米国が約20年前に立ち上げた破片収集訓練
11月20日付 DefenseOne は、ワクライナ軍兵士10名とワクライナ治安機関員10名が、核爆発後に核物質の起源を突き止めるための残骸収集技術「核鑑識」を、約1週間にわたり米国のアイダホ国立研究所 INL(Idaho National Laboratory)で、全米の専門機関から集まった講師から学んだ、と報じています
ウクライナ当局も、「核密輸対策」の一環として核鑑識技術を部分的に学び活用してきた模様ですが、ロシアのウクライナ進攻を契機に、核攻撃や各テロ行為に加担した如何なる国家や組織に対しても確実に責任を問うことを可能にするため、アイダホ国立研究所が米国の緊急対応者向けに毎年開催している核鑑識訓練を受けることを希望したとのことです
約1週間の訓練期間、ウクライナから派遣された20名は、INL、アルゴンヌ国立研究所、カンザスシティ国立安全保障機関、ローレンス・リバモア国立研究所、ロスアラモス国立研究所、ネバダ国立安全保障サイト、国家核安全保障局 NNSA (National Nuclear Security Administration)から派遣された専門家の支援を得て、
INL内での座学のほか、個人用防護具を身に着けた状態での爆発地域想定区域のほこりや残骸の収集、放射線遮蔽した鉛の貯蔵容器への収納、輸送用の荷物の車両への積み込み等々に必要な技術を学んだということです
本訓練を担当したINLと国家核安全保障局NNSAの講師は、エネルギー省の鑑識活動チーム(DFO:Department of Energy Forensics Operations team)の一貝で、核爆発の残骸サンプルを収集するため1年 365日待機しており、必要時には特殊な航空機と機器を使用して、世界中に移動可能な体制にあるとのことです。
なお、核拡散やテロ組織が核兵器を入手する懸念が高まる中、米国が米国の緊急対応者向け核鑑識訓練を検討し、初めて地上破片収集訓練を実施したのは約20年前の 2005年だとのことです。
受け入れたINL や国家核安全保障局 NNSA 関係者は「INLを含む研究所の専門知識と訓練能力は他に類がなく、INLほど核鑑識訓練に適した場所は世界のどこにもない」と自負し、ウクライナからの参加者は「受け入れに感謝し、学んだ知識と技術を祖国で普及し役立てたい」と決意を語ったとのことです
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実際に「核鑑識」技術が必要な事態に至らないことを祈るばかりですが、このような技術の蓄積と普及と継承は、核抑止を支え、核廃絶への道を閉ざさないために不可欠な要素として、日本でも広く認識されるべきものと考えます。
更に言えば、日本国こそ「唯一の核被爆国」として、このような技術の伝道チームに人員や機材を提供できるようであってほしいと思います。ついでに申し上げれば、日本の核関連の技術者の皆さんが、萎縮せず、堂々と活躍できる環境づくりが日本には必要です
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「湾岸諸国で核問題を熱弁」→https://holylandtokyo.com/2009/12/13/10117/
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