当初は 2030年代で1763機調達終了予定も、今は2049年
以前は年間100 機必須と訴えも、今は年最大48機に
2030年時点で海軍海兵隊が6-7割も、空軍は4割以下
9月7日付米空軍協会 web 記事が、作成(昨年大晦日)から8か月以上遅れの8月7日にやっと一般公開された、米国防省作成の調達報告書(The Selected Acquisition Report)の中から、米軍F-35の今後の調達計画に関する部分を取り上げ、米空軍の1763 機調達完了が、当初の 2030年代から10年以上遅れの2049年になる見通しなどを取り上げています
同報告書によると、米空軍計画の調達ペースで進むと、2023年末時点で米空軍のF-35A保有機数が419機のところ、2029年度末時点でも約700機程度止まりで、総予定機数1763機の 4割に満たない調達レベルだと記事は指摘し、
一方で海軍と海兵隊は、同じく2029年末時点で海軍が219機で総予定機数 340機の約65%で、米海兵隊は 245機で総予定機数353機の約70%にまで達し、海軍海兵隊共に2035年頃には、予定の総調達機数取得をほぼ計画通りに終える予定だと紹介しています。
米空軍当局者は調達ペースダウン理由に関し、
●ソフト改修 Tech Refresh 3の遅れで、米議会が調達制限。また空軍も、当面の完成形 Block 4機体が利用可能になるまで調達を抑えたい
●サプライチェーン問題等でロッキード社が生産数アップに苦労
●無人ウイングマン機 CCA や次世代制空機開発への投資、F-15Cの後継F-15EXの調達など、他の優先事業への資源配分・・・と説明しているようです
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本記事は、米空軍協会機関紙のJohn A. Tirpak 編集長自身の執筆記事ですが、米海軍や海兵隊よりも遥かに遅い調達ペースとなっている米空軍 F-35の現状に鑑みると、米空軍応援団である同機関紙の編集長としても、関係者に広く認識されつつある、「空軍の 1763機導入計画は到底実現不可能」、「航空優勢の定義見直しに空軍 2トップが言及する中、次世代制空機NGADのみならず戦闘機全体への投資見直しは不可避」との現実を無視することが出来ないのでしょう・・・。
この記事の最後を同編集長は以下の文書で結び、官僚的思考のドロ沼に落ちたF-35 を冷めた目で見ています。
「空軍は2005年頃に 1,763機という目標を設定しているが、(様々な脅威の変化や先端技術の進歩に)にもかかわらず、その数字を変更していない。空軍当局者は、導入機数を減らすとF-35の単価が上昇し、この価格上昇によりF-35 計画が(法定基準を超えたコスト上昇や開発 遅延のプロジェクト見直しを定めた) Nunn-McCurdy法に抵触することを意識している」
航空優勢の概念に関する議論
「ドローンでへリ撃墜の衝撃」→ https://holylandtokyo.com/2024/08/29/6213/
「重要だが不可能だし必要もない」→ https://holylandtokyo.com/2024/06/07/5938/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「ウで戦闘機による制空の時代は終わる」→ https://holylandtokyo.com/2022/02/09/2703/