11月5日の英新政権閣僚会議でやっと合意の模様
ただし正式発表には数週間必要とか
10月20日に3か国合弁企業設立合意も、後追いで
11月9日付日経新聞が英紙 FTの記事を引用し、正式発表は数週間後だとしながらも、7月に誕生した英国労働党新政権(14年ぶり)が行っていた「戦略防衛見直し」で、巨額の開発費が問題となり「日英伊3か国戦闘機共同開発 GCAP:Global Combat Air Program」からの離脱検討が9月下旬に報じられていた件に関し、11月5日に英首相や関係閣僚が計画継続に合意したと紹介しています
なお、既に2週間前の10月20日には、イタリアのナポリに3か国の国防大臣(中谷大臣、ヒーリー英国防相、クロセット伊国防相)が集まり、3か国共同の次期戦闘機開発を効率的に進めるため、開発の司令塔たる国際機関を日本人トップで 2024年内に設置することを再確認した上で、共同開発の効率的推進のため、同国際機関と一括して契約する合弁企業新設で合意していたところです
つまり、英国は新政権内での戦闘機共同開発承認を得る前に、「見切り発車的」に、「開発の司令塔たる国際機関を日本人トップで2024年内に設置」や「同国際機関と一括して契約を結ぶ合弁企業の新設」の3か国合意に英国としてコミットしていたこととなり、如何にこの GCAP プロジェクトが参加国内で「薄氷もの」であるかが表面化した事案となっています
9月下旬に労働党新政権による「離脱検討」が噂された際には、英シンクタンク IISSが「代替案を示さずに撤退すれば国際社会での信頼失墜につながる」と普鐘を鳴らしており、記事にてご紹介(https://holylandtokyo.com/2024/09/24/6364/)し、更にまんぐーすの私見として「GCAPからの早期撤退」意見を申し述べましたが、米国が次期制空機開発を大幅ダウングレードすることが明確になりつつある中で、以下に再掲載させていただきます
GCAP へのまんぐーすの思い
●防衛省&航空自衛隊は、開発の司令塔となる国際機関をリードする役割を担う立場から、英国やイタリアと早期に協議の場を設け、まず日英伊の戦闘機開発について「一時停止」又は「再検討」措置を執り、最終的には3か国の国益の観点から共同開発を「白紙化」することにより、戦闘機投資の全面見直しを主導すべき
●米国が7月末から次期制空機NGAD計画を一時停止&再検討しており、背景には米軍予算不足とウクライナや中東情勢を踏まえた将来戦に関する優先度再評価があるが、根本には米空軍 2トップが吐露しているように、従来空軍が戦闘機を主戦力として担ってきた「航空優勢」獲得の重要性や実行可能性への疑念がある。
●Allvin米空軍参謀総長や Slife副参謀総長が明言しているように、低高度を支配する無人機による空襲で、70年ぶりに米国人が死亡する時代を迎え、米空軍は「従来のように航空優勢を常続的に維持するのはコスト面で不可能」との認識に至って戦闘機投資の優先度再検討中で、Kendall 空軍長官は当初「F-35の3倍」のコストを見込んでいたNGADに関し、「F-35 より安価に」と発言し始めている。
●海外への戦力投射を主目的とする米空軍と、日英伊空軍が戦闘機に期待する役割は完全に一致するわけではないが、無人機以前から課題となっている各種弾頭&巡航ミサイル対処(極超音速兵器を含む)、サイバー戦、電子戦、宇宙を巡る攻防など、安全保障上の軍事脅威は戦闘機が担う範囲をはるかに超えて拡大しており、戦闘機への投資は再検討されるべき
●特にF-35 導入を決めてしまった国(英伊を含む)は、今後30年以上にわたり脅威にミスマッチな戦闘機経費負担に苦しむことが確定しており、早急に次世代戦闘機開発を見直し、脅威の変化を正面から見つめ直すべき。以上です
次世代制空機NGAD の再検討関連
「再検討は年内終結」→https://holylandtokyo.com/2024/10/31/6478/
「NGAD は F-35より安価に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/19/6351/
「再検討の方向性」→https://holylandtokyo.com/2024/09/10/6315/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
「価格低減が必須」→https://halylandtokyo.com/2024/07/19/6083/
日英伊の共同次世代戦闘機 GCAP開発
「英が見直し検討???」→https://holylandtokyo.com/2024/09/24/6364/
「日英伊がやっと合意」→https://holylandtokyo.com/2023/12/18/5352/
「英伊が日恫喝:逃げるな!」→https://halylandtokyo.com/2023/02/14/4299/