2025年2月の次年度予算案提出に間に合わせたい
10月25日、Allvin空軍参謀総長が軍事記者団体の会合で、1機350~450億円とのあまりにも高額な推定コストが契機となり、8月にKendall空軍長官が「計画の一時停止&再検討」を発表した次期制空機NGADに関し、12月までには専門家検討会等を経て方向性を決定し、2025年2月の次年度予算案提出に織り込みたいと語りました
28日付米空軍協会web記事はAllvin発言を
●現在は、元空軍参謀総長3名、元統合参謀本部副議長1名、および有力な民間専門家2名を含む委員会が多角的に検討しており、今年12月には今後の対応策を勧告する予定で、2025年2月に予定の国防省の大統領予算提出にも影響を与えたい
●計画の一時停止&再検討は、ゆっくり進むことや足踏みすることではない。ただ、決定して一方通行の扉をくぐり抜けると方向転換は難しいので、一時停止&再検討は賢明なことだ
●NGADは非常に高価だが、非常に有能な有人プラットフォームだ。我々がNGADを一時停止&再検討しているからといって、それを放棄したとの先入観を持つのは好ましくない。決定はまだなされていない
●(ただし、中国の軍事力増強と南シナ海での接近阻止・領域拒否戦略を受け、)有人NGADが今の脅威化下で機能するかどうか、設計時よりも確信が持てなくなっている。また、非常に高価な計画になることも判明しており、費用、能力、脅威を再検証して、それが正しい選択なのか見極めが必要となっている
●我々は「想定する脅威に対するコストに見合った最善策なのか?」、「制空権を獲得する最善策なのか?」を再確認する必要がある。そして、仮に現在提案されているNGAD設計が最善策だと判明した場合、我々はその費用をどう捻出するかを考える必要がある
●NGADをF-22の後継機だと呼ぶ人もいるが、あくまでNGADは空軍が目指す戦力を構成するfamily of systemsの一員をなす有人の侵入型プラットフォームだ。またこのFamilyには、NGAD開発が開始された後に本格検討を開始し、具体的開発が始まっている無人の侵入型プラットフォームCCA(Collaborative Combat Aircraft)も含まれている。
●(現在100機導入予定のB-21機数を増やす可能性があるか?・・・との質問に対し、)我々はその可能性を否定していない
以上のAllvin大将発言を踏まえて同記事はコメントし
●無人ウイングマン機CCAが、Kendall空軍長官に「NGAD計画の一時停止&再検討」を決断させることになった。F-35や次期爆撃機B-21と緊密に連携するよう設計されたCCA は、侵攻型有人戦闘機の必要性を減らし、B-21爆撃機の追加導入をより魅力的なものにする可能性がある。
●CCAは生命維持装置を必要とせず、有人戦闘機の数分の1の価格で抑えられる可能性があるため、無人機と有人機の組み合わせのあるべき論が噴出している
●米空軍は、NGADが他のライバル戦闘機を機動性などなどで打ち負かす従来の戦闘機型プラットフォームだとは一度も言及していない。その任務は敵防空網を突破&制圧したり、小型で高速なステルス爆撃機に近いものになるかもしれない。
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Allvin空軍参謀総長は「We intend to have that by December」と語ったようですが、クリスマス前までには検討を終えたいと・・と解釈しております
日本は既に「亡国のF-35」で身動きできない状態に近くなっていますが、NGAD再検討結果が「賢明なもの」になり、日英伊による次世代戦闘機(GCAP:Global Combat Air Program)開発を賢明な方向に導いてくれることを期待しております
次期制空機NGADの現在位置
「NGADは F-35より安価に」→https://holylandtokyo.com/2024/09/19/6351/
「再検討の方向性か」→https://holylandtokyo.com/2024/09/10/6315/
「数か月間保留する」→https://holylandtokyo.com/2024/08/06/6185/
NGAD再検討による波及的影響
「ステルス給油機も運命共同体?」→https://holylandtokyo.com/2024/10/16/6370/
「見直しならNG社が再挑戦?」→https://holylandtokyo.com/2024/10/08/6347/
「先端エンジン開発に危機感」→https://holylandtokyo.com/2024/10/18/6380/
「空対空ミサイルへの影響」→https://holylandtokyo.com/2024/10/23/6337/
日英伊の共同次世代戦闘機GCAP開発
「英が見直し検討???」→https://holylandtokyo.com/2024/09/24/6364/
「日英伊がやっと合意」→https://holylandtokyo.com/2023/12/18/5352/
「英伊が日恫喝:逃げるな!」→https://holylandtokyo.com/2023/02/14/4299/