中露との本格紛争に備えるはずが
フーシ派の無尽蔵無人機や巡航&弾道ミサイル対処に忙殺
フーシ派に対する地上攻撃は制約下に?
紅海やスエズ運河交通量は激減で終わり見えず
6月14日付 Military.com 記事が、イスラエルとハマス戦争やウクライナ戦争の陰に隠れて注目度が低下気味だが、紅海周辺で米軍主導で実施している対フーシ派作戦は、米海軍が直面しているWW2以降で最も激しい海戦になっている、との米海軍幹部や専門家の意見を紹介しています
2023年11月から始まった、フーシ派が「パレスチナ人支援が目的」だと主張する、紅海を航行する西側艦艇や船舶に対するドローンや巡航&弾道ミサイル攻撃への西側対処作戦は、イランから支援を受け、無尽蔵ともいえる上記兵器を保有するフーシ派との戦いとなっており、米海軍艦艇は休みない対応を迫られています
ラマダン期間の攻撃低下期間を除き、フーシ派はほぼ毎日、紅海・アデン湾や近傍の水路でミサイルやドローン(水中・水上を含む)攻撃等を仕掛けており、例えば1月9日の1回の攻撃への対処は、米イージス艦や空母艦載FA-18で、フーシ派発射のドローン18機、対艦巡航ミサイル2発、弾道ミサイル1発を撃墜する激しい戦闘として記録されています
Hudson 上級研究員(元海軍士官)Brian Clerk 氏は危機感を
●疑いの余地なく、米海軍がWW2以降で経験した最も長期にわたる激しい戦闘である
●フーシ派は、イラン提供兵器を使用した実戦経験を積み重ねて能力を高めており、米軍が阻止できないレベルになる寸前だ。フーシ派は有能で、豊富な経験を能力向上につなげている
米海軍空母戦闘群を率いるミゲス海軍少将は
●イランが資金援助だけでなくインテリジェンス支援も行ってることに、相当な確信をもっている。少なくともフーシ派が、海上輸送船や米軍艦を標的にする訓練も受けていることは事実だ
●(イランがフーシ派攻撃の標的を選定しているのかとの質問に対し、)イラン政府とフーシ派は協力関係にある。国連決議でワーシ派への武器供与が禁止されているにもかかわらず、イランはフーシ派に武器供給し続けている
●5月30日の米英によるフーシ派一斉攻撃は、350発以上の爆弾とミサイル50発以上を投入したものだったが、米海軍幹部は「フーシ派の地対空戦闘能力を大幅に低下させたが、彼らはまだ存在している」、「我々は常にフーシ派からの攻撃に備えている」とコメントしている
●フーシ派への攻撃をなぜもっと強めないのか、との不満の声が米海軍乗組員の間で上がっていることを海軍幹部も認めている
●ただ、国際情勢は単純ではなく、欧米海軍が周辺海域で防御態勢をとっている一方で、サウジはフーシ派との和平協定を模索し、ほぼ沈黙を守っている。報道では一部の中東諸国は米国に、自国領土からフーシ派攻撃を行わないよう要請しており、米空母の存在に依存している
●また、米国政府もフーシ派の行動を、イスラエルVSハマス戦争と同レベルで議論しておらず、イランがイスラエルに大規模なドローンとミサイル攻撃を行っても、間接的にイランとの緊張を緩和しようと努めているように見える
米海軍部隊の負担とエジプト等への影響
●現地で踏ん張る空母アイゼンハワー戦闘群は、10月7日のハマスによるイスラエル攻撃の 1週間後の展開以来、たった1回寄港しただけで作戦を継続しており、イージス艦は7日の内6日間は緊張を強いられる即時体制を継続している
●フーン派の攻撃で、この地域の船舶輸送は停滞しており、エジプトの低迷する経済にとって重要な外貸獲得源であるスエス連河収入は、攻撃開始以来半減している
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ボディーブローのように、米海軍を中心とした米軍の能力を奪っている・・・と考えてよいと思います
定性的な記事内容の紹介しかできませんが、イスラエルとハマス戦争から派生する世界の動きは、皆の感覚がマヒしていく中で、大きなうねりとなっているような気がします
最近の中東やフーシ派関連の記事
「イスラエルVS イランを防研が速攻解説」→https://holylandtokyo.com/2024/04/25/5847/
「フーチ派対処で防御態勢迅速改修改善」→https://holylandtokyo.com/2024/04/15/5741/
「出来すぎのイラン攻撃への迎撃作戦」→https://halylandtokyo.com/2024/04/16/5812/