オレゴン州空軍へ一番に配備。露爆撃機領空接近対処か
今後1年で13機、さらに数年で18機体制確立へ
新型装備が正規軍に先立ち州空軍配備は史上初か
6月6日、米空軍が米国防省や統合参謀本部など多方面からの圧力を受けた紆余曲折の後に、戦闘機不足対応のため渋々導入を決断した最新技術&装備満載の「新型第4世代機」であるF-15EXの部隊配備用初号機が、正規軍部隊でなく米本土北西に位置するオレゴン州空軍第142航空団に到着し、受け入れ部隊は最新装備が一番に州空軍に配備されたと大喜びで歓迎しています
同航空団は現在保有のF-15Cの後継として、最終的に18機のF-15EXを運用する部隊になる予定ですが、従来のC型と同じ地上支援機材が全て継続使用可能で、フライバイワイヤ方式やグラスコックピットなど最新装備を導入していても、操縦感覚面でも維持整備面でもC型と親和性が高い事から、パイロットも整備員も数か月でEX型に転換可能だということです。仮にF-35導入の場合には数年必要だそうですが・・・
このように前線部隊で機種転換が極めて容易なことから、前線部隊はF-15EX大歓迎で、第142航空団司令官の大佐は「私の知る限り、州空軍が正規部隊より先に主要兵器システムを導入したのは初めてだ。とても興奮しており、同時に恐縮し謙虚な気持ちでもある」と表現していますが、米空軍上層部は「4世代機」のF-15EX導入機数削減を画策しており、当初計画144機から、現在は98機上限だと主張し始めているようです
ただしF-35導入が開発遅延やトラブル多発で遅れに遅れ、米本土領空防衛任務に穴が開くリスクが出始め、かつF-35とF-15EX価格が同水準であっても、維持費が圧倒的に高いF-35導入には否定的な意見も米議会には根強く、空軍の意向に反してF-15EX導入機数を増やすべく、議会がF-15EX予算を積み増す動きまで出ているようです
背景には「F-15EX」の完成度が高い事があります。サウジ、シンガポール、カタール向け各種F-15最新型をベースとし、世界各地で受け入れ実績豊富なF-15シリーズは運用実績が豊富で、ステルス形状では無いものの、最近の電子戦機器(EPAWSS:Eagle Passive Active Warning Survivability System)を搭載して本格紛争でも相当生存性が向上し、極超音速兵器などF-35が搭載できない大型兵器も搭載可能な実戦向きな汎用性を備え、
更に各種最新センサー情報を高速処理する最新高性能CPUや、燃費や出力が向上して静粛性も増した新型エンジンも搭載したことで、既に完了している開発&&運用試験や、その後の実戦をイメージして参加した19回もの演習でも、F-15EXの前線部隊評価は「うなぎ上り」とのことで、インドネシアなど関心を示す国も増えているようです。
F-35が最新型ソフト導入で問題を抱え、米空軍が引き取りを拒否し、ロッキードの工場が完成済みF-35で溢れかえる「笑えない」状態にあるF-35と対照的に、米空軍上層部を除いて部隊で歓迎されているF-15EXの存在が、奇妙なコントラストとなっているオレゴン州空軍のF-15EX部隊用初号機受け入れの話題でした
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なぜ最初にオレゴン州空軍なのか?・・と問われれば、最近アラスカ方面に進出を増やしているロシア軍爆撃機へのスクランブル対応に、老朽化したF-15C型に変わる機種が急いで必要になっているからでしょう。
目立たないけど重要な役割ですし、外国空軍との接点が多い正規空軍に配備すれば、演習などでF-15EXの素晴らしさが目立ってしまい、F-35の代わりにF-15EXを欲しがる国が増えても困るからかもしれません。邪推ですが・・・
F-15EX関連の記事
「試験配備直後に大規模演習参加」→https://holylandtokyo.com/2021/05/25/1710/
「初号機を米空軍受領」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-15
「F-15Eの後継候補?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-02
「イヤイヤF-15EXに進む米空軍」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-30
「国防省高官もF-15EX導入を語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-23-1
「統参議長がF-15EX購入を語る」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-16-2
「F-15EXは空軍の選択ではない」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-02