2028年3月就航の海自イージス艦から搭載予定
米宇宙軍がアラスカ設置のレーダーLRDRの小型版
4月12日付Defense-Newsは米ミサイル防衛庁MDA等の発表を受け、宇宙物体の監視追尾も可能な開発中の弾道ミサイル等監視用の新しいイージス艦用レーダーAN/SPY-7(V)1に関し、3月28日にMDAが主導して米海軍と海上自衛隊関係者も立ち会う中、ニュージャージー州のロッキード社試験センターでハードとソフトの初融合試験が行われ、宇宙空間物体の探知&追跡を含む所望の成果を得たと報じました
この新型SPY-7レーダーは、米宇宙軍が弾道ミサイル等の防空監視と宇宙空間物体の監視の両方を同時並行的に行って米本土防衛強化につなげるため、アラスカのClear宇宙軍基地に2021年に設置して開発試験中のLRDRレーダー(Long Range Discrimination Radar)と同じ技術を用いた小型版と言われ、2028年と2029年に就航予定の海上自衛隊イージス艦2隻の他、スペイン海軍のF-110フリゲート艦やカナダの水上戦闘艦にも派生版を搭載予定とのことです
3月28日の試験は、実際に海自イージス艦に特化したハードとソフトの組み合わせ初のライブ試験で、搭載時は4面搭載するレーダーの1面だけをまずテストした試験の第1歩だったようですが、宇宙空間物体の探知&追跡にも成功し、更にそのデータを戦闘システムに伝達&処理させることまで初めて行ったとのことです
海自イージス艦に搭載するハードを日本に輸送するまでに、レーダー面4面全てを使った地上試験までを同地で実施する予定とのことですが、宇宙軍のアラスカ設置レーダーよりは小型ながら、従来の艦載レーダーより大型のSPY-7(V)1は、基本的に従来のイージスレーダーと基礎的部分を共有しており、新ハードと新ソフトの融合作業のほとんどは完了しているとロッキード社は自信たっぷりのようです
SPY-7(V)1の原型である宇宙軍のLRDRは、全クラスの弾道ミサイルなど複数の小型物体を同時捜索&探知&追尾可能で、地上のミッドコースミサイル防衛指揮統制システムと連接可能な仕様となっており、NKやイランを含む潜在的なICBM脅威から米本土を防衛するように設計されていますが、MD能力に加え、軌道上の衛星や宇宙デブリを監視追尾可能にすることで宇宙軍の宇宙ドメイン認識向上にも供されます。
なお宇宙軍が2021年アラスカに設置のLRDRは、2023年末までに試験を終え宇宙軍に引き渡される予定でしたが、コロナによる試験中断の影響や試験用模擬弾道ミサイルの不調等の影響を受け、2024年末まで1年延期されています
なお現時点での要求には含まれていないようですが、ソフトのアップグレードで、極超音速兵器の探知&追尾能力の付加も可能とされているようです
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岸田総理が4月10日の日米首脳会談で合意し、日米「2+2」で細部が煮詰められる予定の日米軍事協力強化の一端を担う、イージス艦レーダー開発事業についてご紹介しました。
既に様々な作戦運用や兵器研究開発における日米協力の「芽」が出ているものと思いますが、少しづつ取り上げていきたいと思います。元気があれば・・・
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「アラスカに巨大LRDR完成」→https://holylandtokyo.com/2021/12/15/2505/
「極超音速兵器迎撃GPIの日米協力」→https://holylandtokyo.com/2024/04/11/5732/
「MDAがGPI日米協力前のめり」→https://holylandtokyo.com/2023/03/22/4438/