米国防省の国防革新ボードによる聞き取り調査結果
装置の規格や基準がないと同盟国も企業も投資躊躇
共通のインターフェースやデータ形式なども
企業との連携や国際協力追求の宇宙分野で顕著な課題
4月17 日付 Defense-News は、同日開催された国防革新評議会(Defense Innovation Board)で、日進月歩の宇宙分野技術開発において、リーダーである米国が部品やインターフェイスの規格や基準を明確にしないことが、同盟国や関係企業群の開発投資や協力意欲を削ぎ、連携強化を阻害しているとの指摘がなされたと報じています
同評議会には国防、ビジネス、教育分野等々のリーダーが含まれ、今年のテーマである同盟国や企業とのイノベーション推進に関する「障壁」について取りまとめているようですが、昨年 12月から同評議会が数十回にわたり実施した同盟国や産業界への聞き取り調査結果から、上記が明らかになったようです
例えば、宇宙空間での人工衛星への「燃料補給」に、米国防省と宇宙軍は複数企業や同盟国と連携して取り組んでいますが、企業各社は、自社が投資して開発するの給油インターフェースやポート機器が将来採用される製品と互換性があることを確保するため、事前に規格や基準を知りたがっており、早期に開発の方向性を明確にすることで投資を促進して同盟国や企業からの協力を得やすくすべき、との提言があるようです。
同様に米国の同盟国も、米国がこれらインターフェースやポート機器の基準や規格を明確にするまでは、自国規格の決定を遅らせたり、国家予算投入を控える傾向があり、結果として企業も同盟国も「足踏み」期間が延び、人材や資金の投入が遅れて技術革新の阻害要因やブレーキになっていると、17日の評議会では指摘が相次いだようです
また評議会は、「米国防省が、知的財産権により生じる技術利用の制約が無い標準規格や基準を採用すべく、迅速に取り組むべき」との勧告案も提議され、「これにより、米国内イノベーションが促進されるだけでなく、同盟国の能力も強化されるだろう」との指摘がなされた様で、最終報告書で勧告される模様です
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国防革新評議会(Defense Innovation Board)から勧告を受け取る国防省や米軍研究開発部門からすれば、よりよい規格や基準を早期に定めるために、最新の技術動向や開発状況を、企業や同盟国と早い段階から共有したいのだ・・・との声が聞こえてきそうですが、「開発最前線あるある」の悩みなのかもしれません
「卵が先か、鶏が先か?」を明確にする議論はあるとしても、このような課題をリーダーとフォロワーが共有することで、折り合いつけつつ前進していくのでしょう・・・期待しています
宇宙分野での企業との連携
「妨害に強い GPS衛星への取組」→https://holylandtokyo.com/2024/02/25/5571/
「補給方式異なる2企業と並行連携」→https://holylandtokyo.com/2024/02/20/5554/
「衛星の緊急打ち上げ技術開発」→https://holylandtokyo.com/2024/03/12/5622/
「衛星が地上局との Link-16 通信試験」→https://holylandtokyo.com/2023/11/30/5311/