現在の15個部隊から数不明ながら増強へ
採用難で人員確保が課題。他職域からの転職期待
8月8日、米陸軍の宇宙&ミサイル防衛コマンド司令官が、アラバマ州で開催された「Space and Missile Defense Symposium」で記者団に対し、米陸軍保有のパトリオット防空ミサイル部隊への派遣需要が極めて高い事を米陸軍長官から陸軍参謀総長に至る全ての米陸軍首脳が認識しており、現在保有の15部隊からの増強方向で動いていると語りました。
現在の15個部隊から、既に追加で1個部隊増強する予算措置は完了しているようですが、米議会からも更に追加が必要なはずだから必要数を見積もるレポートを提出するよう、2023年度国防授権法で既に米陸軍は正式に命じられているところです。
同日の会見で同コマンド司令官のDaniel Karbler陸軍中将は、(予算措置が完了している+1個部隊増強に加え、)さらに何個部隊を増強する方向なのかについて具体的には言及せず、陸軍指導者に尋ねるべき質問だとかわしたようです
米陸軍の中でも、パトリオット防空ミサイル部隊は前線への派遣頻度が過去10年以上に渡り最も高い部隊で、更に、通常の陸軍部隊が設定されている6-9か月間派遣期間よりも長い派遣期間を命ぜられていることから、部隊所属兵器への負担の高さが問題となっています
このため、新兵募集が厳しい米軍全体の中にあって、厳しい勤務環境が災いして、部隊増強を支える人員確保が年々難しくなっていることが、パトリオット装備増強のネックとなっている模様です
米陸軍は、パトリオット防空部隊に給与面でのインセンティブを提供したり、海外派遣期間に上限を設定して兵士への負担軽減に取り組み、新たな兵士確保や退職の防止に努めているようですが、今後は米陸軍兵士が勤務契約を延長するタイミング等で、他職域の兵士を防空ミサイル部隊要員に「転換」させる道にも注力する計画を持っているようです
また、防空兵器への需要急増の中にあって、海空海兵隊も合わせた統合枠組みでの防空能力強化や、同盟国の能力を融合することで、トータルの防空能力強化を図る方向にもより注力していくと同司令官は語ったようです
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米陸軍をで言えば、歩兵や戦車部隊などの伝統的な「前線部隊」の規模を含め、トータルな人員の中で防空部隊に振り分ける比率を再検討してはどうかと思いますが、日本でパトリオット防空部隊を保有している航空自衛隊で考えれば、
脅威や兵器技術が激変する中にあっても、半世紀以上に渡り全く変化が無い「戦闘機部隊の10個態勢」も、メスを入れるべき対象と言えるでしょう・・・
パトリオットなど防空部隊関連
「欧州空の盾計画に中立億が続々」→https://holylandtokyo.com/2023/07/12/4828/
「世界初の対無人機等の防空兵器消耗戦」→https://holylandtokyo.com/2023/01/27/4220/
「グアム防衛をMDA長官が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/