ウクライナでのロシアの電子戦に触れつつ
ウ国に提供したStarlinkを防御したSpaceXの対処に驚嘆
国防省専門家「目を見張るほど」「涙が出るほど」素晴らしい
4月20日のイベントで国防省や米空軍の幹部が、ロシアの電子妨害に対処してウクライナのインターネット接続を確保したSpaceX社の迅速で見事な対応を取り上げ、国防省をはじめとする政府機関もこの柔軟で迅速な対処を学ぶべきだと訴えました
イーロン・マスクが率いるSpaceX社は、ロシアのウクライナ侵略開始直後に、31歳のウクライナ副首長兼ねてデジタル相からの要請を受け、48時間以内に衛星利用インターネットサービス「Starlink」をウクライナに提供し、同時に関連端末を多量にウクライナに届けました。
これを受け、ロシアもウクライナをインターネットから遮断すべく直ちに電子戦(EW:electromagnetic warfare)を開始したようですが、翌日にはSpaceXが「Starlink」ソフトの妨害対象部分を見つけ出し、直ちに修復してロシアの妨害を無効化し、ウクライナのネット接続を今日まで確保し続けているとのことです
20日付Defense-News記事によれば
●米国防長官室のDave Tremper電子戦室長は、「SpaceXのElon Musk社長は、開戦時に数千のスターリンク端末を届けてウクライナを支援したが、ロシアの電子妨害にも迅速に対処して翌日には無効化している」、「電子戦において理想的な素晴らしい対処であり、その様子は涙が出るほど素晴らしい」と讃えた
●そして同時に同室長は、「仮にこれを政府機関が行っていたら、このようなコード修正に多くの手間をかけた分析を行い、意思決定に時間を要し、契約と実行まで含まると途方もない時間が必要だったろう」と語り、「我々にはこのような機敏さが必要で、電磁スペクトラム戦に向き合う姿勢や大胆に挑戦して変革することを可能にしなければならない」と訴えた
●また同室長は、システムの2重化・複数化の重要性を強調し、一つが被害を受けても、生き残ったもう一つで機能を維持する重要性を訴えた。そしてEW装置を更新する際には、単なる更新ではなく、システムの強靭性アップを図るべきだと主張した
●更に、AIや機械学習の導入による装備の処理速度向上や、デジタル設計活用による調達の迅速性追求も重要だと述べ、開発中の電子戦機EC-37B(Compass Call)がこの技術を活用し、地上で様々な新たな電子妨害手法を運用者と煮詰めている様子を紹介した
●ウクライナにおけるロシアの電子戦について同室長は、米国防省が予期していたほど強力ではない(Pentagon expected a much stronger EW showing from Russia)と述べつつも、侵攻部隊を前進させながら電子戦を同時進行するロシア軍の同期された活動と、高度で洗練されたEW装備から多くを学んでいると語った
●また、ロシア軍のような電子戦を実戦で行うには、電子戦担当部隊や兵士の教育訓練が極めて重要で、士官から下士官レベルに至る全ての関係者が理解するまでの徹底した準備訓練と知識の浸透が欠かせないと表現した
●米空軍電磁スペクトラム課長のTad Clark准将は、今後の戦いは電磁波を絡める比率が一層高まると予想され、特に緒戦において電磁波領域を支配することが、戦い全体を優位に進める上で不可欠になると語った
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民間から改革の「旗手」や「担い手」として招かれながら、2-3年勤務後に国防省や各軍種の「硬直性」「改革意欲欠如」「複雑怪奇な手続き」「様々な抵抗」などに不満をぶちまけつつ去っていく事例が続いています。
不満をつづった文書をネット上に公開して昨年9月に辞任した国防省CSOに続き、2019年から空軍省CAO(chief architect officer)を務めていたPreston Dunlap氏が、web上に「国防省官僚制を改革するため成すべきこと」との8ページもの文書を投稿して数週間後に辞任することを明らかにしました
Dave Tremper電子戦室長の前任者であるWilliam Conley氏は「車いす上の改革者」と呼ばれましたが、この方も道半ばにして辞任しており、その際各方面から「電子戦の改善改革を考え抜き、民間の革新的技術の早期導入を推進し、敵に負担を強いる戦略を思慮していた人物」で、「新たなセンサー技術や電磁スペクトラム兵器のアイディアを膨らましていた人物」として惜しむ声が上がった方でした。軍の改革は難しいということです
ウクライナにおけるサイバー&電子戦
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原点:ロシアの電子戦に驚愕の米軍
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