台湾のミサイル防衛兵器支援する米2企業が対象
2021年成立の中国法令を根拠に
過去2010,、2015、2019、2020年にも
制裁の具体的内容は不明
2月21日、中国外務省報道官は定例会見の中で、台湾とミサイル防衛システムの維持整備契約(約110億円)を結んだレイセオンとロッキード社に対し、2021年に中国で成立した「Anti-Foreign Sanctions Law」に基づいて制裁を課すと発表しました
同報道官は会見で細部には言及せず、「中国は再び、米国政府と関係団体に対し、台湾への武器売却を止め、台湾との軍事関係を絶つよう促す」、「中国は国家の主権と安全保障利害を断固死守するため、状況に応じてあらゆる手段を今後もとっていく」とのみ述べています
米企業による台湾への武器売却に対する中国の制裁発表は、過去2010,、2015、2019、2020年にもあり、2020年時は、同年10月24日に米国が台湾への大規模武器売却を発表した翌日にロッキード、ボーイング、レイセオン等の軍需部門に対する制裁を発表しています
ただ、いずれの場合も制裁の具体的内容は明らかになっておらず、今回も具体的な制裁内容は明らかになっていません。
同時に、ロッキード、ボーイング、レイセオン等の米国軍需産業は、官民両方の分野で巨大な中国市場を相手に商売を行っており、民需部門への影響も不明です。ちなみに2020年10月時には「軍需部門」のみが対象になっていました
/////////////////////////////////////////////////
米国企業と中国との関係は、それが軍需産業部門を保有する企業であっても微妙なものがあります。
Googleが中国に「AI開発拠点」を設けていることに米国防省幹部や米軍幹部が激怒していることは知られていますが、ボーイングが中国内に民間機生産拠点を保有している点でも微妙な関係です
中国経済の減速や不動産バブル崩壊の中、習近平政権が経済と国際社会との関係のバランスを、どのように取っていくかを見る一つの指標としてご紹介しておきます
2020年10月にも同様の制裁発表
「中国が台湾へ武器輸出する米企業に制裁へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-27
対中国関連の最近の記事
「対中国専属米空母の苦悩」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-02-15
「米中では極超音速兵器の意味が異なる」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-01-21
「中国が核兵器FOBS開発の可能性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-21
「2021年版・中国の軍事力レポート」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-06