2021年4月には予算不足で「戦略的中断」を発表も
同年7月には計画再開していた模様
米軍内ほか、英・伊・蘭にも提供済とか
1月31日付Defense-Newsは、米国防省F-35計画室が、新型F-35兵站情報システムであるODINの最初の14個セットを、米空軍や米海軍海兵隊F-35基地やF-35使用国である英伊蘭にも提供したと報じています
ODIN(Operational Data Integrated Network)は、機能不全で部隊や関係機関に大混乱を引き起こした約2兆円のF-35兵站情報システムALISの後継システムで、2020年1月に開発が決定し、2022年12月運用開始に向け準備が行われていましたが、2021年4月に予算不足で「戦略的停止strategic pause」を宣言するに至りました
しかし2021年7月には開発を再開していた模様で、初度出荷のODINシステム14個セットの提供に至った模様です。ALISがロッキード丸抱えだったのに対し、ODINではロッキードはハードのみで、システム全体管理とソフトは国防省が主導・・・に変更して光明が見えて来たようです
F-35計画室長のEric Fick中将は、「世界のF-35兵站支援システム近代化の一里塚となるODINの使用開始だ」、「国防省、関連企業、F-35使用国による共同作業で成しえたものであり、急増するF-35機体を国際的に支える兵站運用管理を大きく飛躍させるもの」と声明を出しています
ALISは、ソフト不具合からデータ誤処理を頻発して非稼働F-35を量産し、整備現場や部品管理担当者を大混乱させ、おまけに旧発想設計で使いにくく、データ処理が遅く、機材重要が重く機動展開に不向きなど問題だらけでしたが、ODIN導入により処理速度は約2倍に、機材重量は約1/4になったということです
ALIS時に国防省試験評価局から問題視されていた「サイバー脆弱性」について、F-35計画室は今回の声明で触れていませんが、何らかの強化策が執られたものと思われます
ただ、2021年4月に「戦略的中断」を招いた予算問題は引き続き続いており、今もALISに苦しむ部隊に、いつまでにいくつODINが届けられるかは予算次第だということです
今回の初提供14個セットが必要数の何パーセントなのか不明ですし、日本よりオランダやイタリアが先かよ・・・とか、色々疑問もありますが、以下では、14個セットが配分された基地名を列挙ご紹介します
(記事本文にはオランダにも提供、と明記してあるが、配分基地名にオランダの基地名なし???)
米空軍
Eglin Air Force Base, Florida;
Luke Air Force Base, Arizona;
Edwards Air Force Base, California;
(3セット、うち2セットは英と蘭用システム試験支援のため)
Nellis Air Force Base, Nevada;
Hill Air Force Base, Utah;
Eielson Air Force Base, Alaska;
米海軍・海兵隊
Naval Air Station Lemoore, California;
Marine Corps Air Station Miramar, California;
Marine Corps Air Station Beaufort, South Carolina;
製造企業
Lockheed Martin Aeronautics factory in Fort Worth, Texas;
海外
Amendola Air Base, Italy;
Portsmouth Naval Base, U.K.
これどうなった?ALISの後継システムODIN
「ODINの開発中断」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-04-24
「ODIN提供開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-24
「元凶:ALISとその後継ODINの現在位置」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-17
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
「ALIS問題を議会で証言」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-15
「ALISは依然大きな障害」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-02-02