昨年9月から約7.5万人を米本土に受け入れ
5万人以上が既に米社会で再スタートか
1月10日付Military.comが、昨年9月から米本土の米軍基地8か所で受け入れてた米国に協力してきたアフガン避難民計約7.5万人の状況について、現状を紹介しています。経費に焦点を当てた短い記事で、米国社会への影響には触れていませんが、軍隊の海外活動絡みで重い案件ですのでフォローしておきます
米軍はアフガンでの活動を昨年夏混乱の中で終了し、8月30日を最後に部隊がアフガンから撤収しましたが、約20年間にわたる米軍活動を現地で支えたアフガン人協力者とその家族をタリバンの迫害から守るため、米国への移住を認め、報道等からすると約7.5万人を受け入れているようです
昨年9月上旬時点で、北米8基地に設置した臨時テント村に約2万人を受け入れ、10月下旬時点では米軍基地内に5.3万人、基地経由で既に約7000名が米国社会に移住を済ませたと報じられていました
米国防省はこの避難民受け入れ作戦を「Operation Allies Welcome」と名付け、国防省報道官などは「この任務を誇りに思う」との姿勢を公式には示していますが、既に米軍基地内で避難民が女性兵士に乱暴したり、コソボの収容キャンプ(1年間の限定開設)送りになった者も出るほか、基地から米国社会に出た者が女性を襲う事件が発生したりと、長く重い課題となりつつあります
1月10日付Military.com記事によれば
●国土安全保障省の集計によると、現時点で米本土5基地に滞在するアフガン避難民は19500名で、最も多いのがNew Jersey州のJoint Base McGuire-Dix-Lakehurst基地の9700名、Fort McCoy(Wisconsin州)に4,400名、Fort Pickett(Virginia州)に2,700名、Camp Atterbury(Indiana州)に1,100名、Holloman空軍基地(New Mexico州)に1,600名となっている
●昨年8月末から避難民を受け入れてきた8基地の内、3つの基地は既に受け入れ任務を終了しており、例えばバージニア州の海兵隊Quantico基地は、12月までの間に約200億円を投入し、居住テント・食事・医療・教育などの生活基礎支援から、子供の遊び場・サッカー大会・居住者間のトラブル対応に当たる「shura councils」の設置などを行った
●これまで議会承認を得ている約1.5兆円の避難民受け入れ経費の適切性については米議会でも議論となっており、支援を終了した基地から国防省監察官が監査を開始している
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昨年10月、「何名かの避難民に懸念が生じ、コソボのCamp Bondsteelへ家族を含め移送された」との報道に関し、国防省報道官は米国政府機関から必要な追加要員をコソボに派遣し対応していると説明していましたが、コソボとはアフガン避難民を365日以内にコソボ国外に出す条件で一時的に合意しているにすぎません
繰り返しになりますが、一事が万事、海外で軍隊が活動することの難しさを感じざるを得ません。避難民の安寧を祈念いたします
アフガン避難民関連の記事
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