北緯68度39分の厳しい環境の基地で
42年任務を果たしたF-16と交代で
1月6日、ノルウェー空軍がF-35を領空保全任務(NATO quick-reaction alert mission:日本でいう対領空侵犯措置任務)に就けたと発表し、42年間同任務を果たしてきたF-16と交代することになりました。
同国F-35が緊急発進態勢をとったのは、北緯68度39分にあるEvenes空軍基地で、従来F-16が待機していたBodø空軍基地より180㎞も北に位置し、緯度でいうとロシアとアラスカに挟まれたベーリング海峡の最狭部と同じ緯度の北極エリアです
Evenes空軍基地で15分以内に緊急発進できる態勢をとったのは3機のF-35で、これまで任務を担ってきたF-16の同任務飛行時に随伴し、対処要領等の学んで任務に備えてきたということです。
なお、F-35部隊の主力はよ同国南部のØrland空軍基地に配備されるようで、Evenes基地は任務用前線展開基地の位置づけのようです
同国空軍は52機のF-35導入を予定しており、2025年には全機が揃って同機運用態勢を確立する予定だそうですが、暖流の影響で緯度のイメージよりは気温が上がるとはいえ、この場所での戦闘機運用は容易ならざるものがあると思われます
一例として、ノルウェー空軍F-35は世界で唯一ドラッグシュートを装備し、凍結した滑走路でもスリップなく既定の範囲内で制動できるよう改修されています
なおノルウェーはEvenes空軍基地を拡大しつつあり、P-8対潜・海洋哨戒機の北方配備基地としても準備しているようです。
米空軍戦力のロシア正面での展開先は、スカンジナビア半島と欧州大陸に囲まれたバルチック海エリアににらみを利かすポーランドで、1月6日に米空軍F-16が展開配備され、ポーランドやベルギー空軍F-16とともに任務に臨むとNATO声明が出されている
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F-35がいわゆるスクランブル待機態勢に入ったということですが、F-35をロシアの各種偵察機や情報収集機にも接近対処させ、ロシアの情報収集網に飛び込んで任務させる覚悟が米国で固まったということでしょうか?
先日、UAEへのF-35輸出交渉が難航しており、そのネックの一つが米国がUAEに要求している「F-35の運用制限」だとご紹介し、中露に近接する日本のF-35にも何らかの制約が課せられているのでは・・・・と邪推しましたが、その辺りはどうなのでしょうか?
米国との関係において、ノルウェーと日本とUAEにどのような差があるのか・・・気になるところです
中東と米国の関係
「UAEが米国との武器購入交渉停止表明」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-12-16
「UAEへの武器輸出を国務省次官補が語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-17
「UAE空軍司令官視察:イスラエル最大の多国間空軍演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-04
「米国防省の武器輸出担当DSCA長官が怒りの辞任」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-15