豪華版と同じソフトでハード削減も75%の訓練可能
豪華版の1/8のスペースで使用可、分解持ち運び容易
価格非公表も豪華版の数分の一の模様
11月30日、ロッキード社が全世界のF-35使用者の要望に応え、現在100台余りが使用されている豪華版F-35訓練シミュレータの小型簡易版を開発したと発表し、9割部品を削減して小型で分解持ち運び容易性を高め、かつ訓練可能科目も豪華版の75%をカバーする装置を実現したと説明しました
第5世代機は能力が高すぎ、実環境で性能を最大発揮する訓練が難しいことや、飛行時間当たりの維持整備費が高価なことから、バーチャル訓練と呼ばれるシミュレーターでの訓練の重要性が叫ばれ、F-35用には360度の映像を映し出すMRT(Mission Rehearsal Trainer)との豪華版シム装置が提要され、DMT(Distributed Mission Training)とのシステムで世界中のシム装置と連接し、異機種混合の大規模バーチャル訓練体制構築を目指しています
そのような豪華版MRTが約100台米軍を中心に世界で使用されているようですが、価格非公開ながら高価格と想定され、F-35運用者からは安価版や小規模版を求める声が相次いでいたようで、ロッキードは発表で、F-35使用者の要望やニーズを基に設計開発したので、宣伝や売込みの必要なく商談が成立するだろうと語っています
以下では2日付Defense-News記事から、安価小型版MRT LITEの概要をご紹介します
MRT LITE
(Mission Rehearsal Trainer Lightning Integrated Training Environment)の概要
●豪華版より9割ハードを削減し、豪華版1台のスペースに、8台を設置可能
●豪華版1台の価格で、“a number of these(MRT LITE)”を購入可能
●豪華版が360度映像投影だが、廉価版は前方スクリーン3枚
●豪華版から緊急事態対処用のみに関連する操作スイッチ等を無くしたが、5世代機に重要な目視範囲外(beyond-visual-range)任務など、豪華版の75%の任務訓練が可能
●廉価版は数時間で分解・組み立て可能で、空母内での使用も可能
●18か月間の開発とF-35使用者へのデモと意見聴取で現在に至る
●現在は公開ソフトのみ使用可能で、秘匿ソフトの導入を今後実施。他の部分も含め、具体的な開発完了時期やコストには発表会見で言及せず
●ロッキード社は、国防省F-35計画室やF-35使用者と具体的な導入・提供に向けた協議を並行して進めている
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豪華版だけでなく、最初から廉価版も作れよ!・・・とロッキードに突っ込みたくなりますが、F-35の維持整備費が高止まり状態で、米軍や米国議会のみならず、英国からも辛らつな批判を浴びているロッキードが、ようやく重い腰を少し上げたのでしょう
日本が豪華版を導入しているのか把握していませんが、飛行時間削減及び維持整備費削減のため、この廉価版導入を検討してはいかがでしょうか
世界中で100台使用のF-35豪華版シム訓練装置
「F-35新型シム装置DMTで他基地他機種ともシム訓練可」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-02
「DMT構想について」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-06
5世代機とバーチャル訓練
「米空軍が人工知能シム訓練アイディア募集」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-26
「5世代機のため訓練エリア拡大要望」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-12-09-1
「5世代機の訓練はシムと実機併用で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-11-24-1
「シム訓練でF-22飛行時間削減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-1
「F-35SIM連接の課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-05
「移動簡易F-35用シミュレーター」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
「5世代機はバーチャル訓練で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28-1