11月15日にロシアが無通告で衛星破壊兵器試験
少なくとも1500のデブリ拡散
国際宇宙ステーションが退避動作
11月15日にロシアが衛星破壊兵器のテストで自国の衛星を破壊し、破壊された衛星の破片(デブリ)が周辺に拡散して国際宇宙ステーション(ISS)が当該軌道周辺を通過する90分ごとに退避(take cover)を余儀なくされていると米国務省が明らかにしました
破壊されたロシア衛星は「Cosmos 1408」らしく、高度500㎞の軌道を周回していたもので、国際宇宙ステーション(ISS)軌道の上空80㎞の軌道を周回の衛星らしいですが、ロシア衛星破壊ミサイルの直撃で、確認できる大きさのデブリだけで1300以上のデブリが拡散しており、ISSが当該デブリ近傍を通過するごとにISS退避&防護行動を強いられている模様です
衛星破壊兵器実験とデブリ問題は、2007年に中国が行った気象衛星での実験で大きな問題として取り上げられ、当時発生した追尾可能なデブリ約3500個の内、今でも3000個近くが宇宙空間に漂っていることが示すように、、影響が長期にわたる深刻な課題です。なおこの際は、中国指導層が実験の実施を承知しておらず、国際的に問題になって初めて知らされた可能性が高いことでも物議をかもしました
最近では、2019年にインドが衛星破壊兵器の実験を行いましたが、この際インド側は低高度軌道の衛星が破壊対象であり、全てのデブリは数週間で大気圏に突入等すると主張してところです
ロシアは衛星破壊兵器の試験を最近でも行っていますが、攻撃目標に衝突する直前で迎撃を止めたり、デブリが生じないような形でのテストを実施してきており、なぜこのようなデブリを宇宙にばらまく実験を行ったのか意図不明です。「間違ってぶつけてしまった説」も出てきそうな予感です
15日付Defense-News記事によれば
●15日、米国務省のNed Price報道官は会見で、「15日、ロシアが無謀な地上発射ミサイルによる衛星破壊実験を行い、現在までに1500以上の追跡可能なデブリが宇宙に拡散され、より小さなデブリも含めて、全世界の利害を損ねる結果になっている」と訴え、ISSもデブリが漂う空間近傍を通過する90分ごとに退避行動に迫られているとロシアを非難した
●また同報道官は「ロシアによる危険で無責任な行為は、宇宙空間の状態を長期にわたり悪化させるものであり、宇宙空間の兵器利用に反対するロシアの姿勢が如何に偽善的でいい加減なものかを示すものでもある」と非難した
●国防省のJohn Kirby報道官は、本実験についてロシアから事前の通知等は一切なかったと述べ、「国防省は国務省と今朝の実験について強い懸念を共有しており、多数のデブリの影響が国際宇宙ステーションにまで及んでいる事態を憂慮している」、「本件は米国のみならず、宇宙を利用する全ての国々にとっての脅威である」、「改めて全ての関係国が責任を果たすような規範が必要だとの米国の立場を確認しておく」と会見で言及した
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ロシアも参画し、ロシア人宇宙飛行士も利用している国際宇宙ステーション(ISS)活動にも影響が出るような実験を、なぜロシアが行う必要があったのか「?」です
観測が進むにつれ、デブリの量が増えそうで心配です。ロシア側の対応や、より詳細な専門家の分析を待ちたいと思います
ロシアの宇宙兵器疑惑
「ロシア衛星がなどの物体射出」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-24
「4月中旬のロシア衛星破壊兵器試験を批判」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-17
「怪しげなロシア衛星問題提起」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-04
「再び同高官が指摘」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-10-26
宇宙兵器問題への取り組み
「国防宇宙戦略を発表」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-06-19
「提案:宇宙兵器の6分類」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-28