中国軍企業AVICと中国空軍が時同じくして発表
武漢で姿が確認されているJ-31改造版か
9月29日付Defense-Newsは、中国海軍幹部がZhuhai航空ショーでの記者会見で、今年中に新型の空母艦載機を披露すると明らかにし、同じタイミングで中国航空産業AVIC(Aviation Industry Corporation of China)が同社アカウントのSNS上で同様の発信を行ったと報じました。
両者の発表が同じ中身を示すものかは確認できていないようですが、AVIC(中国航空工業集団)の子会社であるSAIC(瀋陽飛機航空集団)の工場で、輸出に成功しなかった中国版F-35とも呼ばれる戦闘機J-31を艦載機に改修する様子らしい状況が最近確認されており、西側の憶測を呼んでいるところでしたので、それとの関係が指摘されています
6月にご紹介したJ-31改良新型艦載機?
「中国海軍の新型艦載機開発?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-10
9月29日付Defense-News記事によれば
●中国国営の「環球時報」によれば、中国海軍が使用中の艦載戦闘機J-15の設計チームを率いた中国海軍戦闘機設計チーム長であるSun Cong氏は、Zhuhai航空ショーでの記者会見で、「中国人民は今年後半に、次世代の空母艦載戦闘機を目にすることになるだろう」と語った
●またCong氏は、適当なタイミングで新艦載戦闘機のより細部について明らかにすることになろうとも述べた
●同様に、AVIC(中国航空工業集団:Aviation Industry Corporation of China)は自社の中国版ツイッター(Weibo)アカウントで、2021年末までに、新型の空母艦載機を披露すると発信した
●Sun氏もAVIC社も細部については全く触れていないが、AVIC社のSNS上には、2つの垂直尾翼を備えたステルス形状の機体シルエット画像が添付されていた
●なお、今年のZhuhai航空ショーでは、ステルス攻撃機と言われるJ-20が、国産エンジンWS-10C搭載して披露され、2機編隊での飛行展示を連日行って注目を集めた
●最近中国航空産業の国産エンジン開発が進展し、従来はロシア製エンジンを搭載していた双発機のJ-11やJ-16が、中国製WS-10を10年ほど前から搭載をはじめ、単発のJ-10が今年中国製WS-10を搭載し始めていることが確認されている
●ただしJ-31は、現有艦載機のJ-15と同様に、これまでのところロシア製エンジンでのみで飛行している
J-31関連:今年 6月9日付Defense-News記事によれば
●武漢にある中国海軍の開発試験拠点で改良型のJ-31(FC-31)が目撃され、未確認だが、空母艦載機への使用可能性が出てきた
●同機は輸出用を目指して2012年に初飛行したが、輸出には結びつかず、その後は空母艦載用に改修されるとのうわさが流れていたが、2016年にステルス性を向上させた新たな姿を見せて初飛行し、話題となった
●ステルス形状がより追及され、エンジンの空気取り入れ口のステルス化が進み、機体内兵器搭載庫が追加された。
●依然として完成間近な段階ではないが、モックアップが中国海軍の開発拠点武漢の模擬空母上で確認されたことから、空母艦載可能性が高まったと話題になっている
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有事のことを考えると、中国が空母に多額の投資をし、西側潜水艦や航空攻撃や艦艇からのミサイル攻撃の「格好の餌食」になってくれれば良いのですが、グレーゾーンまでのことを考えると事は単純ではありません
南や東シナ海、台湾周辺などに中国空母がウロチョロするようなことが常態化すれば、威圧感を感じざるを得ませんし、偶発的な事案の可能性も高まり、厄介な話になると思います
仮にお披露目になる新型艦載機がJ-31改良型とすると、行動半径が500㎞程度(とても短い)との報道もあり、その能力のほどは未知数です
J-31関連記事
「中国海軍の新型艦載機開発?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-10
「輸出用の中国製ステルス機J-31改良型初飛行」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2016-12-27
単発で初:中国国産エンジン搭載
「単発J-10CにWS-10B搭載」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-12