F-35はエンジン不足で15%が飛行できず

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米空軍保有機約290機の41機がエンジンなし
トルコ除外による部品不足や整備時間長期化もあるが
エンジンブレード耐熱不足問題がどっしりと?

F-35 F135.jpg13日、下院軍事小委員会で国防省F-35計画室長などが証言し、エンジン関連が原因で運用態勢にない米空軍F-35が41機あり、他軍種や同盟国機も含めると計46機が搭載可能なエンジンが無い状態にあると説明しました。

米空軍のエンジン無し比率「約15%」がどれほど問題なのか、比較可能なデータがないので不明ですが、2021年初から関係高官が、F-35稼働率が上がらない原因として「F135エンジン問題」に言及しており、コロナ感染拡大やトルコが部品サプライチェーンから除外されたことに起因する部品不足だけでなく、「エンジンブレード耐熱不足問題」がじわじわと表面化しそうな雰囲気です

繰り返しご紹介しているように、F-35の製造コストは低下傾向(最新Block 4は?)も、維持整備コストが第4世代機の2倍程度に高止まりし、更に一つの完成型である「Block 4」以前の機体は「Block 4」にアップグレード改修を行う必要があることから、総コストは上昇の見通ししかありません。そんな中でのエンジン問題に、「泣きっ面にハチ」状態のF-35購入国です

「エンジン問題について」各種報道から
Fick2.JPG国防省F-35計画室長Eric Fick空軍中将は下院で、「エンジンの維持コストは課題である。だた、新造機の納入には影響はない。まもなくエンジン使用2000時間の定期整備を迎えるエンジンが現れコスト増に注意が必要だが、最近はコストがフラットになる傾向を見せつつある」と述べつつも
エンジン整備遅延問題に対処するため「3つのアプローチに取り掛かっており、一つはTinker基地エンジン整備所の整備時間短縮取り組みであり、もう一つは他にもエンジン整備拠点を設ける検討、そしてエンジンの整備間隔を延長する検討である」と説明した

F-35 F135 2.jpgJay Stefany米海軍開発担当次官補代理は下院で、「関連企業及びF-35エンジン修理施設と緊密に連携し、エンジン整備の遅れを取り戻すべく尽力している」、「整備人員の増強など」と説明したが、エンジンブレード表面処理の問題は人の増強では解決できない
現場でのエンジン不足問題を受け、F-35が所属する米空軍戦闘コマンドは、2021年に各所で開催予定だった航空ショーへのF-35派遣を縮小することを決定している

F-35 F135 5.jpgF-35用のF135エンジンを製造するPratt & Whitney社のMatthew Bromberg社長は、4月にエンジン不足問題についてメディアに、「2つの理由がある。コロナ感染対策による部品製造の遅れと、トルコが部品供給チェーンから抜けたこで、予定していた効率アップが進まなかった」と説明している
ちなみにトルコは約1000個の部品供給に関わっていたが、その中には188個のエンジン関連部品が含まれていた。同社長はタービンブレードの耐熱コーティングに関しては言及しなかった
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大きくF-35の稼働率が上がらない理由を考えると、兵站情報管理システム(ALISに代わりODIN)トラブルや部品確保サプライチェーンの混乱、想定以上の部品故障率や整備員の技量未熟等々・・・複数の大きな原因が背景に上がりますが、性能発揮の制約になりそうなのがエンジン問題です。

以下では関連の高官発言を時系列でご紹介します特に今年2月のBrown空軍参謀総長発言に注目です。「フェラーリ(F-35)で毎日通勤することはない。日曜日に乗ればよい」と発言したことで、この問題の深刻さが広く知られるようになったからです

Lord調達担当国防次官
Lord2.jpg2019年11月下院委員会で→戦闘任務にあたる飛行部隊での稼働率は、2018年10月の55%から、2019年9月の73%に上昇
2020年7月下院委員会で→F-35稼働率は、2020年1月には60%であったが、同年6月には70%に上昇。また全ての任務が可能な機体比率は、同期間で40%から50%に上昇

退任前日の2021年1月19日会見で→F-35稼働率は、「複数ある任務の一つでも可能な機体は69%で、全ての任務が可能な機体は39%、稼働率低迷の主な理由は、キャノピーの表面剥離やF135エンジン関連問題にある

国防省F-35計画室幹部(2021年2月12日)
エンジンブレードの問題は、耐熱コーティングが想定より早く劣化する問題である。F-35関連各級指揮官がF-35関連の種々の課題を議論する会議を開催し、F135エンジン問題に関する議論も行われた

Pratt & Whitney社は声明で
2020年からエンジンブレード改良処理過程を導入開始し、製造ラインに投入している

Brown空軍参謀総長(2021年2月17日)
Brown.jpg(F-35エンジン問題に関する質問に問題の存在を認めつつ、)最新鋭機へのニーズが高いことから使用頻度が高くなり、F-35のエンジンの故障率が上昇している
この問題対処に維持整備方式や整備施設の体制検討を中将大将レベルで行っている。シンプルにはF-35の使用頻度を下げることが対処法だ(simply be to use the F-35 less)

「フェラーリで毎日通勤することはないだろう。フェラーリは日曜日に運転すればいいんだ。F-35はハイエンド環境の装備であり、ローエンド環境で常に使用する必要はない」と述べつつも、「この考え方にも異論があるだろう。反論も予期している」
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よくわかりませんが、「Pratt & Whitney社声明」をそのまま信じれば、2020年以降のエンジンブレードは耐久性が改善され、米空軍でいえばそれまでに受領していた200機強だけが問題を抱えているとも解釈できます。

でもそうであれば、Brown空軍参謀総長のような発言にはならない気がします。突き放したようなその表現に、F-35が既に米軍内で「お荷物」になりつつある気配さえ感じます

エンジンブレードの耐熱性不足
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「Lord次官が最後の会見でF-35問題を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
最近のF-35
「海兵隊C型が完全運用態勢」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-08
「スイスが14番目の購入国に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-07-01
「英国防相がF-35企業に不満をぶちまける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-24-1
「英国は調達機数半減か」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-24
「伊軽空母に海兵隊F-35B展開」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-14-1
「F-35投資はどぶに金を捨てるようなもの」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-03-06
「エンジンブレードと整備性問題」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-02-13
「F-35稼働率の状況」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-21
「新型戦術核搭載飛行試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-28
「5月の事故対策改修は秘密」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-24
「中東でかく戦えり」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-08-19
「機種別機数が第3位に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-07
「B型とC型が超音速飛行制限甘受」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-27
「ボルトの誤使用:調査もせず放置へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-29
「ポーランドが13カ国目に」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-03

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