RFPを2つの企業に提示し、2022年秋に機種決定
2025~29年に試験や審査を実施し、2030年部隊配備
ほぼ同時に「FARA:将来攻撃偵察ヘリ」選定も2社で実施
12日付Defense-Newsは、7月6日に米陸軍がUH-60後継機イメージの「将来長距離攻撃ヘリ:FLRAA:future long-range assault aircraft」提案要求書RFPを2企業群(Bell 社とSikorsky-Boeing 連合)に発出し、2022年第3四半期に選定結果を発表する予定だと報じています
争う2つの企業は全く異なるタイプの航空機を提案する方向で、Bell 社はオスプレイのようなティルローター型の試験機「V-280 Valor」を基礎としたタイプを、一方のSikorsky-Boeing連合は従来型ヘリのステルス形状型「SB-1 Defiant」をベースにした「Defiant X coaxial」提案になると言われています
機体と搭載兵器システムの設計や開発を、同時進行するかで複数の情報が飛び交っているようですが、時期をずらしても3か月程度のずれで2つをほぼ同時に進める構想になっているようです
今後の選定予定は
●2022年第3四半期に選定結果発表。初期設計レビューを経て、2023年第3四半期からプロトタイプ製造開始
●2025第3四半期にプロトタイプ機を入手し、飛行試験を2029年末まで予定
●2030年部隊配備
両社の候補機種のベース「V-280 Valor」と「SB-1 Defiant」(2機種比較の写真掲載)は、共に米陸軍の「CDRR取り組み:competitive demonstration and risk reduction effort」に参画している試験機体で、長く米陸軍が構想や関連技術を温めてきたものです。
具体的な要求性能や特徴については記事に言及がなく、調べる気力もないのですが、米陸軍が西太平洋での活動を意識し、航続距離や残存性を追求した機体であることが、写真をご紹介している2種類の原型機の形状等から伺えます
機種決定後の流れのイメージは
●まず、バーチャル環境でプロトタイプ機を多様な観点から分析して設計の細部を詰め、初期設計レビューを実施
●次に、重要設計レビューを行い、更に具体的な製造要領を煮詰めるため6機のプロトタイプ機を作成
●これらの成果を踏まえ、ユーザー評価用の完成版に近い2機を作成し、部隊の意見を聴取
製造企業へのインセンティブが与えられる条件
●設定スケジュールよりも前倒しで各段階を達成した場合
●機体重量増の要望に応えた場合や、外部搭載量を増やせた場合
将来攻撃偵察機:FARAもほぼ同時進行
米陸軍は同時期に「将来攻撃偵察機:FARA:future attack reconnaissance aircraft」も進めています。
FARAは、予算不足で後継機開発を待つことなく2014年に退役した「OH-58」偵察ヘリの後継機イメージの機体で、過去には3機種(ボーイング・シコルスキーRAH-66コマンチ、ベルARH-70アラパホ、Armed Aerial Scout)が候補として検討された経緯があるようです
こちらは、Bell 社とLockheed Martin社の2社と競争的機種選定契約をすべに結んでおり、
●2022年末までに両社が試作機を完成させ、2023年1年間を使って、米陸軍が2機種を飛行試験等で比較する
●2024年3月までに選定結果を発表する・・・ことになっているようです
候補機種の写真からすると、より前線での活動を意識した機体のようです
以上、米陸軍航空部隊の将来を担う、「将来長距離攻撃ヘリ:FLRAA:future long-range assault aircraft」と「将来攻撃偵察機:FARA:future attack reconnaissance aircraft」について、細部の特徴や要求性能に全く触れずに、概要の概要をご紹介しました
ご興味のある方はググってください
FLRAA関連:V-280とSB-1について
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