伊軍も30機F-35B購入予定で同空母搭載準備中
英空母とは共同運用構想にまで発展しているが
13日付Military.comは、米海兵隊F-35部隊約180名が約4週間に渡りイタリア海軍軽空母Cavourに展開し、同空母のF-35B受け入れ試験航海を支援したと報じています。
イタリアの軽空母Cavourは、海上自衛隊の「いづも」とほぼ同じ大きさで、「ひゅうが」よりは一回り大きく、2009年から就航している艦艇ですが、現在主戦力として搭載している12機のAV-8Bの後継として、F-35B受け入れ準備を行っており、米海兵隊が空母戦力化を支援した形です
イタリアは空軍が通常型のF-35A型を約90機購入予定で、更に短距離離陸垂直着陸のF-35Bを海空軍で計30機購入する計画を持っています。伊海軍は軽空母でのF-35B運用を想定し、空軍はF-35Bを短い滑走路しかない機動飛行場で運用することを想定しているようです。
現時点でイタリアは、2機のF-35Bを受領し、米国内のBeaufort米海兵隊航空基地(SC州)で要員の訓練&養成を行っています
欧州の中では、英国に続いてF-35に積極的だったイタリアは、最終組み立て工場FACOや部品製造分担も担っているのですが、どうもお国柄(失礼・・・)からかうまく稼働していないようで、加えてコロナが追い打ちをかけた厳しい財政情勢からF-35調達が危うい雰囲気となっており、米軍がイタリアのF-35熱が冷めないように懸命に支援している・・・とも解釈できます
13日付Military.com記事によれば
●米海兵隊のPatuxent River海軍航空基地所属の約180名が、約4週間に渡りイタリア空母Cavourを拠点に活動し、米海兵隊F-35Bの操縦を試験評価第23飛行隊のパイロットが務め、伊空母のF-35B受け入れ態勢準備を支援した
●米第2艦隊のAndrew Lewis司令官は、「イタリア海軍の空母体制準備支援は、我々の共同運用体制における安全と戦闘能力向上につながるものだ」、「この支援を通じ両軍はさらに能力を向上させる」と語っている
●空母Cavour艦長のGiancarlo Ciappina大佐は、「第5世代戦闘機が実際に我が空母に展開して活動するという、我々すべてにとって特筆すべき成果である」、「既に大きな成果であるが、同時にイタリア海軍にとって新たな挑戦の始まりでもある」と訓練の意義を語っている
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米海兵隊F-35Bが伊空母Cavourで活動(3分半)
米海兵隊は、F-35Bを十分に調達できない英海軍のため、新型の英空母Queen ElizabethにもF-35Bを派遣して空母受け入れ態勢準備を支援し、2021年1月には、両国からF-35Bと空母を差し出し、同空母と米駆逐艦で空母攻撃群を構成する合意文書にも署名しています
そして今年中旬以降、米駆逐艦Sullivansと空母エリザベスが空母攻撃群を構成して作戦行動に出ることも決まっています。イタリア空母の場合、そこまで米軍と深い関係とはならないようですが、F-35Bを活用した両国軍の関係強化には貢献したということでしょう。
英空母エリザベスの悲しき現実
「英新型空母と米駆逐艦が空母攻撃群を編成へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-01-22
「コロナ下で800名乗艦で最終確認試験」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-01
「英空母エリザベスは米軍F-35B部隊と一体運用へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-26-1
「英海軍と英空軍共有のF-35Bが初任務」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-06-27
「米海兵隊F-35が英空母へ展開へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-09
「米軍F-35Bを英空母に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16
「英空母が航空機不足で米軍にお願い」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03
F-35搭載改修終了直前の惨事(放火)
「強襲揚陸艦Bonhomme Richard火災の衝撃」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-15