1日、米国防省が米国内でレアアース(希土類:rare earth)の採掘精製に従事する企業との約30億円の契約発表を行い、レアアースの中国依存を脱却する一歩だとアピールしました。
レアアースに関しては、昨年9月30日に当時のトランプ大統領がレアアース確保に関する大統領令を発出し、レアアースの世界市場を中国が牛耳っている危機的な状況に警鐘を鳴らし、米国政府を挙げて米国内採掘処理を活性化させて備蓄を増やすとともに、中国産の輸入を抑える関税などの措置検討に入ったところでした。
実際、米国はレアアースの約8割を中国から直接輸入しており、残りの部分にも第3国経由で中国産を輸入している鉱物が含まれているなど、米中対立が激化し緊張感が高まる中、中国側にアキレス腱をゆだねているような状態にあります
米国防省も重要な装備・兵器(ミサイル、弾薬、極超音速兵器、電子機器の放射線防護から携帯電話まで多様な装備)に不可欠なレアアース17種類を重要素材と指定し、Lord前調達担当次官が昨年10月に上院軍事委員会で、レアアース確保備蓄に向けた戦略作成や柔軟な予算運用が可能となるよう議会の協力を求めていたところでした
今回の30億円契約先は、中国企業以外で世界最大のレアアース採掘精製企業「Lynas Rare Earths Limited」の米国支社「Lynas USA」で、同社は米国防省からの資金でテキサス州に「light rare earth」の精製施設を建設するということです
1日付C4ISRnet記事によれば
●今回契約発表があった精製処理施設が完成すれば、Lynas社は世界のレアアースの1/4を採掘精製する規模となる見込みである。
●昨年4月にも国防省は、同社がテキサス州に建設する「heavy rare earth metals」処理施設に、他のベンチャー企業と共に資金を拠出しており、また昨年11月にはレアアース国内産出増加のために3件で計約13億円の契約を民間企業と結んでいるところ
●国防省は今回の契約に際し、「(トランプ大統領による)大統領令13817で指示された貴重で重要な鉱物資源確保に向け、米国防省が近年取り組んできた資源調達やサプライチェーン強化の一環である」と声明を出している
●また専門家は「この契約の重要性は、米国防省が継続的に国家安全保障上重要なレアアース確保政策推進に取り組んでいることを示した点にある」、「レアアースはほとんどすべての国防装備品や兵器に不可欠な素材である」とコメントしている
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中国に8割依存とは厳しい現実です。また埋蔵量でも、中国が35%、旧ソ連圏で20%以上など、西側にとっては頭の痛い話です
日本の排他的経済水域内の海底に、多くの貴重な鉱物(レアアース?)が眠っていると耳にしたことがありますが、日本も貢献できそうならばぜひ投資を考えてはどうかと思います。詳しくないので素人アイディアですが・・・
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「レアアース確保に米国が大統領令:中国依存脱却へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-10-03
「中国がレアアース輸出規制へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-07-06