インドネシアが欧州の中古戦闘機購入打診

「墺」の汚職問題で揺れるタイフーンに触手を
ロシア・韓国・米国を天秤にかけて交渉する策士

Eurofighters.jpg20日Defense-Newsが、インドネシア国防相がオーストリア国防相に書簡を送り、オーストリアが2002年から導入した15機のEurofighter Typhoon戦闘機を全て購入したいと提案していると報じています

インドネシアメディアによれば同国国防相は書簡の中で、このような売却要請が「極めてセンシティブ」である事を承知の上だとお詫びを述べつつ、暗にオーストリアのタイフーン戦闘機を巡りオーストリア内で、2002年の同機購入決定にさかのぼって汚職がらみの問題が浮上している事を連想させる内容になっているようです

Eurofighter2.jpgインドネシア側が購入を打診した直接的な理由は、上記の汚職疑惑に加え、15機のタイフーン戦闘機のコストと能力について疑問の声が上がり、「より効果的で、より費用対効果の高い」解決策を求めて、2017年にオーストリアが同戦闘機の早期退役を決定した事にあるようです

詳しい経緯や両国の戦闘機事情況まで記事は紹介していませんが、近隣ドイツのトーネード後継機選定に触れるまでもなく、どの国の戦闘機選びも「ドロドロ」感にあふれている印象です。大きなお金が動きますから・・・・

20日Defense-News記事によれば
F-16D ground.jpgインドネシアの墺タイフーン戦闘機に対する動きは、米国務省がインドネシアへのMV-22オスプレイ売却を承認したとの「サプライズ発表」の2週間後に明らかになっている
インドネシアは、米国の州空軍が運用していた23機のアップグレード改修済F-16C/Dを2014年から導入して使用しているが、広大な島国の防衛のため追加の戦闘機を探していたところである。ちなみにオーストリアのタイフーン戦闘機は、「Tranche 1」との防空任務用のタイプである

いろんな意味で興味深い今回のインドネシアの動きであるが、SU-35をインドネシアに売り込んでいたロシアにとってはショックなニュースであろう
SU-35.jpgインドネシアが現在SU-27とSU-30を運用していることから、同系列のSU-35を売り込んだロシアは売却交渉でインドネシア側の同意を得たが、約1300億円の契約書にインドネシア側がサインを渋り、2018年になって交渉破談が決定した背景があるからである

このSU-35交渉決裂の背景には、ロシアからインドネシアが戦闘機を購入することで、米国から制裁を受ける恐れが生じたからではないかと報じられている。なお米国では、イラン、北朝鮮、ロシアなど米国の敵対国から武器や軍事装備品を購入した国に制裁を科すことが出来るCAATSA法が2017年に成立している
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MV-22オスプレイに関する米国務省の許可と、2週間後のタイフーンへのアプローチの関係は、邪推すると、米国がオスプレイ売却を決定し、オスプレイ入手を確実にした後に、墺タイフーンの話を持ち出して、2つの交渉が影響し合わないようタイミングをずらした・・・とのことでしょうか

インドネシアは中国製の新幹線を導入する等、ロシア&中国とも関係を持つ国ですので、オスプレイ売却許可ニュースが 「surprise announcement」となったようですが、米国も武器輸出規制を緩和して輸出促進に乗り出していますから、インドネシアの巧みな動きとも解釈できます

KF-X 2.jpgインドネシアは韓国とも戦闘機「KF-X」開発を進めていますが、インドネシアが技術者を引き上げたとか、インドネシア側が共同開発資金を支払わないなど、暗雲が立ち込めているようですので、ロシアより韓国の方が「タイフーン話」に衝撃を受けているのかもしれません

コロナの影響で、インドネシアは国防費を7%以上削減する方針だと報道されていますが、その辺りとの関係も気になります。いずれにしても、南シナ海を囲み、中国正面に存在する大国ですので、変な方向に進まないことを祈ります

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「韓国KF-Xは2個エンジン」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-22
「F-35がらみでKF-X支援要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-31

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