100%誤ったボルトでも問題なしと
どの機体にどれだけ誤用があるかも不明なまま
現状不明な機体をどう維持整備していくつもり?
2月27日、ロッキード社のF-35担当Greg Ulmer副社長が記者会見し、F-35の製造現場で強度の異なる2種類のボルトが混同され、設計上使用されるべき箇所で指定された強度の強いボルトが使用されず、安価で強度が低いボルトが使用されていた恐れがあることが昨年11月に発覚した件について、調査分析の結果、全てのボルトが強度が低いボルトでも十分な強度が確保できるとして、製造済みの機体の調査やチェックを行う必要はないと語り、国防省機関の同意も得たと説明しました
F-35には約5万本のボルトが使用されており、大部分がより安価なチタン製(5ドル)ですが、800-1500本(ABC型毎に異なる)は強度の強い高価なインコネル製ボルト(20ドル)を用いる箇所が設計上決められています。
しかし外見上2つボルトは見分けが困難で、現場労働者が余ったチタン製ボルトを誤ってインコネル製ボルト箱に戻したりしたことが繰り返され、混同誤用が製造現場で時期不明な過去から行われる事になっていたようです
この混同誤用は、米国テキサスの工場だけでなく、イタリアでも発生していたようですが、現場の管理がしっかりしていた名古屋の三菱重工が運用する工場(FACO)ではなかったことが確認されています。
「唖然:F-35でボルトの混同誤使用発覚」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-31
昨年11月に本件が発覚した以降に製造の機体約20機には誤用がないことが確認されていますが、発覚以前に製造済みの数百機については、今に至るも、どの機体に、どれだけ誤用があるのか把握も出来ていない(把握しようともしていない)状況なのに・・・この結論だそうです。誰が納得するのでしょうか???
27日付米空軍協会web記事によれば
●27日、フロリダ州オーランドで開催中の米空軍協会航空戦シンポジウム会場で会見したUlmer副社長は、分析の結果、製造済みの全F-35を対象とする検査が必要となるような飛行安全リスクはなかったと語り、再発防止対策を含めた関連報告レポートを国防省の国防契約管理庁(Defense Contract Management Agency)に提出して了解を得たと説明した
●同副社長は分析について、問題が発覚した時点で関連工場内に存在した製造中も含めた全ての機体をチェックし、ボルト誤使用が多数見つかった機体がほとんどなかったことが明らかになった(Inspectors didn’t find very many aircraft “that had a high percentage of mis-installation)と説明し、
●この調査の結果を基にロッキード社が分析した結果、「仮に100%の誤使用があった場合」でも、設計上必要な機体強度の136%確保できることが明らかになり、100%以上を確保している点で、最悪の場合にも機体の強固さに何も問題がないとの結論に至ったと説明した
●この結果から、ロッキード社は国防省国防契約管理庁に対し、製造初期にまで立ち返って全機体を検査する必要がないと報告し同意を得た、と同副社長は語った
●再発防止策について同副社長は、インコネル製ボルトを特別なナイロン製の袋に入れて管理し、製造現場には必要数のみを配分して必要部位のみに使用され余分なボルトが生じないようすると説明し、併せて現場に2名の監督官を新たに配置して監督を強化すると述べた。また、2種類のボルトの色分けも検討すると説明した
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1機に5万本も使用されているボルトで、しかも外見上見分けが出来ない2種類のボルトを全機体で全数チェックすることは途方もない労力と時間を必要とすることから、また現状のF-35を取り巻く状況から、「問題なし。そのまま使用してOK」との結論しかなかったと邪推します。結果有りきの「出来レース」の匂いがプンプンです
100%の誤使用があった場合、136%の安全性は飛行時間を積み重ねて機体疲労が蓄積しても変わらないのか? 高価なインコネル製ボルトを引き続き使用する理由をどう説明するのか?・・・などなど、報道だけでフォローしているまんぐーすでさえ疑問に思います
機体整備や定期点検の方法にも変更が必要でしょう。不明なボルトが使用されている状態では、人工知能やデータベースを使用しても機体の状態は正確に把握できませんから・・・。
飛行前にパイロットは、機体に問題ないことを確認してサインすると思うのですが、このサインを拒否するパイロットが出てきても不思議ではありません
絶対後に尾を引くF-35の安全問題
「唖然:F-35でボルトの混同誤使用発覚」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-31