国防省の電子戦担当少将が語る:道遠し

単に現状を正直に語っているのか
予算獲得のためのアピールなのか・・・

Landrum.jpg12月18日、米国防省の電子戦推進担当副部長であるLance Landrum空軍少将が記者団に主要な地域コマンドに電子戦計画を立案する専門部署を設置して同能力の強化を図っているが、必要な人材配置やより大きな視点での電子戦管理の手段も必要だと現状を表現しています

国防省の電子戦推進担当副部長とのポストは、「deputy director of the Electromagnetic Spectrum Operations Cross Functional Team」を訳したもので、この部の部長(Director)は「余人をもって代えがたい」と言われた伝説のWilliam Conleyという車いすの人物でしたが、9月にあっさり辞任して民間企業に転職し、部長ポストは当分空席が続くと言われているようです。

米軍の弱点とも言われ、テロとの戦いにより長期間放置されてきた電子戦能力の復活は最重要課題の一つのはずですが、それが副部長である空軍少将に任されている現状からは、何か盛り上がらない雰囲気も感じます。

そんな中ですので、副部長の断片的な話からは、米軍の電子戦刷新は着手したばかりで、まだまだ「道遠し」な状況が伺えます。電子戦推進のために組織の枠組みから整備し始めたが、中身の充実にはいろんな意味で時間が必要・・・な印象です

18日付C4Isrnet記事によれば
electoric warfare.jpg18日、 統合の電子戦推進担当副部長であるLandrum空軍少将は記者団に、地域コマンド司令官が担当作戦エリアの電子戦環境を良く把握し、作戦計画に生かせるよう、幾つかの地域コマンド司令官が電磁スペクトラム作戦に特化した人材で構成される部署(cells:(JEMSOC))を設置したと紹介した
●そのような部署を設置した地域コマンドは、欧州、アフリカ、中央、インドアジア太平洋軍の4つである

●今年の秋に議会に提出された関連レポートは、地域コマンドの電子戦専門部署は人材や資源の不足で活動が阻害されていると指摘しており、同レポートを受け国防省は、これら部署を支援するための資金を準備する方向である
●同少将は記者団に、「これら電子戦専属部署は、地域コマンド司令官が電子戦環境を理解して作戦計画を練る際の助言を行う原点組織(ground zero)を意図している」と説明し、同時に国防省全体で電磁スペクトラムを理解して運用していく構成要素をなすと表現した

●電子戦を巡る情勢認識について同少将は、「明確に私が言えるのは、米国は電磁スペクトラム領域で危機に直面しているということである。相手は米国が電磁スペクトラムに依存しており、そこが弱点になっていると認識しており、その弱点に焦点を定めて我々を攻めようとしている」と表現した
electoric warfare2.jpg●ただ、地域コマンドの専門部署が地域の作戦立案を支援したとしても、米軍は作戦遂行している電磁スペクトラムの状況を把握できる「戦闘管理手段:battle management tools」を必要とするだろうと同少将は付け加えた

●米国防省は、この大きな視野で戦闘地域全般を把握する「戦闘管理手段:battle management tools」に取り組んでいるが、現状では軍人指揮官たちはこのシステムを使用することが出来ない
●しかし将来、前線指揮官たちは、敵ネットワークやシステムの状況、併せて友軍の状況もまとめた可視化ツールを求めるだろうことから、Landrum空軍少将のチームは、将来のる戦闘管理システムの基礎となりうる、各部隊が現在保有する関連システムを取りまとめて評価しているところである
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先日ご紹介したアジア太平洋担当国防次官補のほかにも、辞任を表明する国防省高官が相次いであり、DARPA長官、人事担当次官、国際協力担当補佐官、情報担当筆頭副次官補などのポストが新たに空席なりました(臨時代理を指名したポストもありますが・・・)

Conley.jpg9月に電子戦担当部長職を辞したWilliam Conley氏についてCSBAのWhitney McNamara上席研究員は、「彼は国防省の電子戦を如何に改善し改革するかを考え抜き、民間の革新的技術の早期導入を推進し、また敵にコストを転嫁する戦略を深く練っていた」と振り返り、「新たなセンサー技術や情報管理システムの導入、更には電磁スペクトラムの兵器としての活用にまでアイディアを膨らましていた」と失った人材の大きさを振り返っています

政府機関と民間を行き来してキャリアアップを図る米国の知的専門家ですが、やっぱりトランプ政権では出入りが激しいと思います

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