米国が予算不足で新兵器開発が滞る中
中国は1日に建国70年を迎え、北京中心部の天安門広場で午前中、軍事パレードを行いました。
いろんな表現で報道されていますが、建国記念日では60周年の2009年以来の軍事パレードで、他の機会の軍事パレードも含め過去20年間で最大の軍事パレードだったとの表現も見られ、陸上戦闘部隊の装具、自動小銃から戦略核ミサイル、空軍の作戦機に至るまで、幅広い分野で新型の兵器・装備を披露するというアピール度の強いものとなりました
2012年に習指導部発足後、軍事パレードは「抗日戦争勝利70周年」の2015年、軍創設90周年の2017年に続いて3回目で、江沢民及び胡錦濤国家主席は各1回しか軍事パレードを実施して事と比較すると、習主席にとって3回目の軍事パレードは「武力を重視する習氏の政治姿勢」の表れとも表現されています
パレードは約80分をかけ、160機以上の航空機や580の装備が天安門広場周辺で披露されたが、全ての装備は中国製で統一され、また全て実戦配備済みと説明されました
個々の装備について語る知見を持ち合わせていませんが、1日夕刻FNN Primeにアップされた軍事評論家:宇垣大成氏の評価などを中心に、軍事パレードの特徴的な部分をつまみ食いでご紹介いたします
陸上部隊
●熱帯雨林地域から砂漠地帯にまでの戦域に対応できるよう、異なる環境を意識した複数のパターンの戦闘服や個人装具を披露した
●新型の自動小銃、15式戦車、トラック車体に155mm榴弾砲を搭載した18式自走野戦砲、直径300mm級の長射程多連装ロケット弾発射機、Z-10攻撃ヘリコプター、Z-20輸送ヘリコプターなど戦力の質の充実をアピールした
●また、米本土の全体を射程に収め、本体から分離後は各個に別々の軌道で目標に向かう核弾頭10個を搭載できる射程14000㎞以上の新型ICBM「東風(DF)41」が初公開された
海軍兵器
●SSBNに搭載されている射程8000km級のJL-2 SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)のほか、大型の水上戦闘艦に搭載される通常弾頭装備で最大射程が500km級になる超音速対艦巡航ミサイルYJ-12BとYJ-18Aが、トレーラーやトラックに搭載されて行進したほか、新しいUUV(無人潜水艇)が登場
航空機
●空軍機では、大型の国産ステルス戦闘機J-20、大型輸送機Y-20、胴体下に対艦弾道ミサイルを搭載すると考えられるH-6N新型爆撃機、エンジンやレーダーの組み合わせによって軽戦闘攻撃機にもなるJL-10新型練習機、空飛ぶ電波ジャック放送局といえるY-9XZ心理戦機などが展示飛行した。
●併せて、既存の国産戦闘機J-10やKJ-2000早期警戒管制機、HY-6空中給油機、新型無人機などと合わせて、空軍力が新しい段階に進みつつあることを明らかにした。
西側が保有しない戦力
●ミサイルではICBM以外にも、大気圏内を軌道を変えながら飛翔する射程2000km級だと考えられているDF-17超超音速兵器(Hypersonic weapon)が登場した。これは、中国首脳が数年前から「米国や日本、韓国がMDを推し進めるならば、それらを国家の意思として突破し、無力化する。」と表明していたことを裏付けるものでもあり、現用のミサイル防衛網では阻止不可能だと考えられている。(米国も必死に開発を進めている)
●なお中国軍では、DF-17開発途中で、早ければ来年中にも戦力化する予定だとも言われており、この兵器だけは自薦配備済みが微妙である。また次世代の新型極超音速滑空兵器の開発をも進める姿勢を見せている。
●更に、対地攻撃力を持つ新しい超音速巡航ミサイルDF-100も登場しており、ミサイル防衛が無力化されつつあるという点で、中国首脳の意思表明が実現に向けて着実に進展していると言える
////////////////////////////////////////////////
米国を中心とした西側戦力を無力化するために考え抜かれた見事な兵器体系整備だと思います。実際に機能する兵器なのかは別として・・・
西側関係者は、中国の兵器体系の視点から、自らの弱点を改めて見直す必要があると思います
中国も景気後退で厳しいのでしょうし、西側も踏ん張りどころでしょう・・・
「2015年の中国軍事パレード」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2015-09-04
米国防省「中国の軍事力」レポート関連記事
「2019年版」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-06
「2018年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-18
「2016年版」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06
「2013年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-08
「2012年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19
「2011年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-25-1
防研の「中国安全保障レポート」紹介記事
1回:中国全般→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-19
2回:中国海軍→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-17-1
3回:軍は党の統制下か?→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-23-1
4回:中国の危機管理→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-01
5回:非伝統的軍事分野→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-22
6回:PLA活動範囲拡大→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-09
7回:中台関係→サボって取り上げてません
8回:米中関係→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03-2