7月23日の日本海連携飛行
ロシア爆撃機の台湾周回威嚇飛行
また民主主義体制への疑念も拡散
7月30日、ワシントンDCの米空軍協会ミッチェル研究所で講演したC.Q. Brown太平洋空軍司令官は、昨年できたばかりの米国家防衛戦略NDSさえも十分に想定していない中国軍とロシア軍の連携協力が進んでいる状況に危機感を訴え、7月23日の中露爆撃機の日本海での連携飛行や露爆撃機の台湾周回飛行などを例にあげました
ロシア極東や中央アジアでの軍事演習に中国とロシア軍が共に参加することはあったものの、何となく生暖かい関係が続いていましたが、トランプ政権誕生後の西側結束の緩みに付け込み、「敵の敵は味方」論理で急速に中露が接近しています。
特に7月23日の中露爆撃機の連携飛行はインパクト大で、米国が日韓関係への仲介に乗り出したのも、韓国によるGSOMIA破棄の脅しだけでなく、中露爆撃機の連携が衝撃的だったからではないかと邪推しております
7月30日付米空軍協会web記事によればBrown大将は
●23日に中国軍のH-6爆撃機とロシア軍のTu-95爆撃機が共に飛行し、韓国の防空識別圏に入り、日本と韓国の戦闘機が多数緊急発進して対応した様は、まさに将来起こりえる事態のさきがけの様であった
●昨年のヴォストーク演習でも、ロシア軍と中国軍の連携緊密化が目立ったが、両国の親密さは米国にとっての大きな懸念材料である。最近、ロシア軍爆撃機が台湾を一周する飛行を行ったが、事前にロシアが中国から外交的な了解を取り付けていたと言われている
●私は中露が協力して活動し始めたことを懸念している。この2国の連携は米国やその同盟国等をより厳しい環境に置き、インドアジア地域に騒動や混乱を巻き起こすことになろう
●2018年発表の国家防衛戦略NDSは、中国やロシアとの対峙に主眼をシフトしたが、そのNDSでさえ2国が融合する姿を前提にはおいていない
●米国情報コミュニティがまとめた「2019 worldwide threat assessment」は、中露は1950年代以降で最も緊密で、特に両国の脅威認識が集約される方向にあるとし、米国が進める民主主義体制や人権擁護への疑念を流布することにも余念がないと分析している
●中露はまた、他国と連携して西側同盟に対峙しようとしており、2014年以降その勢力は拡大しつづけている、とも同アセスメントは分析している
●これら課題に対応するため、例えばF-35が太平洋地域には多く配備され、2025年までには220機になる見込みであるが、その内訳で米同盟国の保有機数が75%を占めるほど同盟国が重要になる。米国も来年アラスカにF-35を1個飛行隊配備する計画である
●ただ我々は、中国との軍事的緊張が高まった場合に備え、これら戦力を分散させることを考え始める必要があり、その場合、現在の根拠基地より設備不十分な場所への分散退避を前提としなければならない
●同時に海軍との連携強化も重要で、「Long Range Anti-Ship Missile」が一つのカギで、またJASSMとその派生型ミサイルの共用も重要だ。更に米軍は当地域の精密誘導兵器の備蓄を増加させなければいけない
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先日ご紹介した飯塚恵子さん著の「ドキュメント誘導工作」は、ロシアによるメディアやサイバーを駆使した世論操作や選挙介入を詳しく描いていましたが、現時点では細部が不明ながら、中国の膨大なデータを基にしたメディアやサイバー空間での「誘導工作」の方がより強力になるだろうと警戒していたところです
ハード面での軍事連携だけでなく、このような非軍事ソフト面での中露連携は、考えただけで恐ろしそうです。しかしトランプや英国のジョンソン首相の動きをみていると、突っ込みどころいっぱいで、中露の連携に火に油を注いでいるように思います
まぁ・・・韓国文政権のデタラメぶりもそうなんですが・・・
太平洋軍関連の記事
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