わずか数百の神経細胞しかないのに昆虫は・・・
4日、米国防省国防省高等研究庁DARPAが、「Microscale Bio-Mimetic Robust Artificial Intelligence Networks」と命名された「ハイリスクながら、ハイリターンが期待できる」プロジェクトを行うと発表し、投資額を明示して挑戦者の募集を開始すると明らかにしました
このプロジェクトは文字どおり、小さな昆虫の小さな脳神経システムを学んでヒントを得、飛躍的に発展しつつあるAIに更なる革新を持ち込もうとするもので、約1億円の資金を掛け、18か月間で結論を得ようとするベンチャー的性格を帯びたものです。
募集期間も短く、今年春には開始するスピード感も特徴で、中国やロシアに押されて危機感が募るDARPAが、新たな姿勢で臨む意欲を姿勢を示したプロジェクトです。
このような発想では、既に民間企業でも取り組みがあるのかもしれませんが、DARPAの巻き返しに期待しつつ、概要をご紹介しておきます
8日付米空軍協会web記事によれば
●4日付DARPA発表では、「過去10年間で、その開発と教育訓練方法で爆発的な進歩を見せたAI分野であるが、今や多くの産業界にその応用が広がっている」とし、AIが急激な進歩を遂げている重要分野であることを強調している
●一方でその課題の一つとして、「Aiがより複雑な課題への応用に投入される中、大きなシステム活動を支える計算能力要求は毎年10倍ペースで急増している」として、飛躍的な処理速度向上を達成するための革新が求められている状況を説明している
●DARPAの発表は、具体的にどの昆虫の脳神経細胞システムをサンプルにプロジェクトを進めるのか明らかにしていないが、数百の脳神経細胞しか持たない昆虫が、自然環境にて適応した昆虫の捕食、生態、生殖等を低エネルギーで支えている仕組みから学んで取り入れようとのプロジェクトである
●募集要項に基づき2月4日から挑戦者を募集し、4月3日から開始するプロジェクトは、18か月間で結果を出すことを求められている
●前半の6か月間には約2000万円までの資金が割り当てられ、昆虫システムの応用可能性を情報収集システムと情報信号の交換システムの視点から確認する。
●後半の12か月間では約8000万円までの資金で、具体的なプロトタイプの計算モデルを開発することを目指している
●この昆虫プロジェクトは、2018年7月に始まった「Artificial Intelligence Exploration program」の一環である
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昨年7月発表の「Artificial Intelligence Exploration initiative」は、18か月間の間にハイリスクながらハイリターンが見込めるAI分野を見出し、あらたなAIコンセプトを提示することを目指すもので、併せて迅速な研究資金確保のメカニズムを提示した取り組みです。(受付期間は3か月とのスピード感)
その一つが今回の昆虫プロジェクトです・・
一方で、昨年9月発表の「AI Next initiative」は、より包括的な全体計画の位置づけかと推察いたします
AI関連の記事
「DARPAが新AIプロジェクトを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11-1
「中露がAI覇権を狙っている」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「2025年にAIで中国に負ける」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-04
「DARPA:4つの重視事項」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08