そんなの理論値が計算できたはずでしょ!
ステルスコーティングへの影響配慮だったのか?
3日、米空軍Operational Energy (SAF/IEN)が、米空軍5世代機(F-22とF-35)が長距離移動する際の飛行速度を、実験結果を基に従来よりもアップすると発表し、これによって移動時間を短縮できるとともに、燃料消費量も削減できると宣伝しています
検証実験では、アラスカからハワイまでの長距離移動を6機のF-22で行い、2機の空中給油機KC-10の支援を受けて約5時間の飛行を行い、従来基準より高速で飛行したグループが、飛行時間で10%、燃料消費量で6%削減できたそうです
具体的な飛行速度については、当然ながら発表は触れていませんが、「closer to their maximum-range airspeed」な速度だと説明し、かつ、衝撃波を発生させない速度だと補足説明しています。
また、この発表を伝える米空軍協会web記事は、2017年1月に海兵隊のF-35Bが米本土から岩国に展開した際、250回も空中給油しなければならなかったとの事例も上げ、今回の移動基準速度アップの背景を解説しています
この発表なんか変です! そう思いませんか?
●航空機の飛行速度毎の燃料消費量は、基本中の基本データとして開発や試験段階から検証され、航空機の性能を示す数値として基本マニュアル等に掲載されます
●そのデータは、様々な飛行高度や大気温度の変化の下で確認されて使用者に提供され、長距離移動の場合はそのデータを基に、相当精密に燃料消費量や飛行時間が予測できるはずです
●もちろん、計画段階で想定していた気象条件と、実際に飛行した際の条件にはずれがあり、完全に飛行計画通りにフライトすることは難しいでしょうが、どの飛行速度にすれば燃料効率が良いかは予想可能だと思います。速度が決まれば飛行時間は計算できるので、アラスカーハワイ間の試験の意味が不明です
●空中給油機の飛行性能に配慮して5世代機の飛行速度を抑えていたのかもしれませんが、空中給油機だって戦闘機同様に燃料消費率を計算するぐらいのデータはそろっているはずです。
●それと変なのは、6機のF-22と2機のKC-10だけで試験をし、F-35について同様の試験をしないで移動標準速度アップを発表した点にも疑問が残ります
●更に、この発表を空軍司令部内の「Operational Energy (SAF/IEN)」との、作戦運用と関係なさそうな部署が管轄していることも「?」を呼びます
●ここからはまんぐーすの邪推ですが・・・・、これまではステルス機の表面の特殊なステルスコーティングへの影響や耐久性の観点から、長距離移動の速度を制限していたが、5世代機データの蓄積の結果問題ないことが証明されたので(又は許容範囲内の影響だと判明したので)、今になって移動速度アップを許可した・・・てな感じではないでしょうか
●又は、海兵隊F-35Bの岩国移動のように、あまりにも空中給油等が煩雑になるので、機体への影響には目をつぶって、移送速度アップを許容する判断をした・・・ではないでしょうか???
●大体、こんなことを米空軍が発表する必要があるのか??? と思います。環境への配慮とか言われると笑っちゃいますが・・・
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以上はあくまで、まんぐーすの邪推です。気になる方は航空自衛隊のF-35関係者にでもご確認ください・・・
パイロットの方やご存知の方のご意見を歓迎いたします
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