米空軍調達:ソフト調達が最大の課題

Roper5.jpg4月27日、その約2週間前に米空軍省の調達担当次官に就任したばかりのWill Roper氏が記者団に米空軍調達の一番の課題はソフトウェアの迅速な調達であると語りました。
前職が国防省の「迅速能力構築室:Strategic Capabilities Office」のチーフであった同氏だけでなく、国防革新評議会の議長であるEric Schmidt氏も最近議会で、米国防省全体のソフト調達を「crazy:ばかげている」と証言したところです
Schmidt氏は議会証言で、「2018年発売のスマホのソフトを、2001年に発注するようなものだ。開発技術が存在しないから開発できないのに。ソフト開発は永続的に繰り返すことなのに」と例示して説明したようですが、しゃくし定規なやり方が問題なようです
29日付米空軍協会web記事によればRoper氏は
Roper44.jpg数十年にわたって続けられてきた米国防省の調達システムは、航空機や潜水艦用のシステムとなっており、ソフト調達には機能していない。発注したソフトを国防省が手にした時点で、既に時代遅れのソフトになっているからだ
●米空軍は機敏なソフト開発に移行すべきで、「一からやり直しもいとわない」」ことや「バグ探しの自動化」が当たり前の環境を作ることが必要だ。国防省は週単位や月単位で納期を設定することができないが、ソフト開発調達はその先鞭となりえる
●私は米空軍の状況を把握しているところだが、コスト超過や開発期間超過に陥っているほぼ全ての計画は、ソフトが重要な位置を占める装備品である
Schmidt.jpgF-35の維持コストが問題となっているが、生易しい課題ではないが、克服不可能な課題ではないと思う。この問題にもソフトの問題が大きくかかわっており、鍵となるソフト問題の解決により、ドミノ効果で多くの維持経費問題にもアプローチできる
●国防革新評議会議長のEric Schmidt氏は、「真に望ましいのは、何度もやり直し、失敗や経験からの学びを反映できる形だ」、「これこそが機敏な開発であるが、ルールを固定する国防省では不可能なのだ」と議会で語っている
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F-35の維持経費の問題は、開発と量産の同時進行による手戻り続発、無理な増産計画など、ソフト以外の「人災」側面が大きいのですが、ソフト開発に世界中の国防省や軍人が追い付いていないのも確かでしょう。
一風変わった雰囲気を持つWill Roper氏の、米空軍省でのご活躍に期待いたしましょう!
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