4月27日、就任直後のポンペイオ国務長官はNATO外相会談で欧州諸国に国防費増を訴え、その矛先がドイツに向く中、同日訪米中のメルケル首相も努力すると発言する中で・・・
25日、開催中のベルリン航空ショーでユーロファイターCEOが、独空軍が保有する90機のトーネード戦闘機の後継争いで、F-35よりもユーロファイターが有利に立っていると語っています。
先日ご紹介したように、仏と独が中心となり、次世代戦闘機の開発プロジェクトを立ち上げ、欧州全体を巻き込んだプロジェクトに成長させようとの取り組みが同航空ショーでぶち上げられ、2040年の運用開始を狙うようですが、トーネード後継機はその間の「つなぎ役」を期待されているようです
もちろん米国のF-35売り込みは激しく、かつ冒頭でご紹介したように、米国務長官の就任翌日の初仕事が同盟国への国防費増要求ですから、ユーロファイターCEOも枕を高くして眠れないでしょう。
同様の国防費増加要求(米国製兵器の売り込みも含め)が、今後日本にも、しかもポンペイオ国務長官経由でも来襲するでしょうから、直接関係ありませんが、ちょっと覗いておきましょう
NATO、特にドイツへの国防費増要求
●就任翌日にブラッセルでのNATO外相会合に出席したポンペイオ国務長官は、2024年までにGDP比で2%まで加盟各国の国防費を増加(うち2割は装備品導入に使用せよとの要求含む)するとした、2016年9月NATOサミットでの合意事項の履行を強く訴えた
●欧州NATO加盟国が国防費を増やす傾向にある中、独を含むいくつかの国は不十分で、特に独は、現1.24%から1.25%に増加する見通ししかたっていない
●同日、メルケル独首相はマクロン仏大統領に続くように訪米し、トランプ大統領との共同記者会見で、「米からの要望を受け、段階的に、今後数年間で国防貢献を増加する」、「NATOに貢献してきたが、より貢献が必要なことも認識している。欧州がこれ以上米国に依存することはできない」と語った
トーネード後継機選定について
●ユーロファイター営業責任者は、「ステルス性は総合能力の1割程度を占めるに過ぎない。ユーロファイターは他の9割で(F-35に)優っている」と自信を見せた
●ユーロファイターCEOは、「ユーロファイターに投資されたすべての資金が欧州内に落ちることを保証する」と語るとともに、欧州市場で同機が引き続き存在感を見せる事を保証すると語った
●また両者はともに、同機がF-35のように「black boxes」を持たず、技術や運用ノウハウの全てを同社が保有して活用可能である点も強調した
●独空軍内部には、F-35のステルス性や突破力などの第5世代の能力を支持し、ユーロファイターの能力不足を主張する声もあるが、独仏を中心として始まった次期戦闘機が完成するまでの「つなぎ役」にそれほど投資する必要があるのか・・・との意見が強い
●トーネードが担ってきた核兵器運搬能力に関しては、秘密事項に当たるとしてユーロファイター関係者は会話を避けたが、ドイツはNATOとの約束を履行すると同CEOは語り、米国が本件を盾にユーロファイター導入に抗議することはないだろうとも語った
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F-35も未だ核兵器搭載改修は手つかずで、今後その投資を検討する・・・段階だったと思います。核兵器搭載承認を行う米国に、ユーロファイターが意地悪されないことを祈りつつ・・・
また、中東とイスラエルをNATO本部の後に訪問したポンペイオ国務長官が、近いうちに極東にも表れ、強い要求を日本に行うのでは・・と気になります
そういえば、夏に退役後、豪州大使(2年近く空席)が予定されていたハリス太平洋軍司令官が、ポンペイオ氏の意向で韓国大使になるようです。動きが早いです
「独仏中心に欧州連合で第6世代機開発」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-07-2