3棟からなる研究施設にトマホーク57発とJASSM19発
それぞれに1000ポンド以上の弾頭を搭載し・・・
普通は1目標に2000ポンド2発だが・・・
その前に、
19日、米中央軍報道官は、使用されたのはJASSM-ERではなく初期型の「JASSM」であり、作戦に不参加とされたF-22も、多国籍軍地用部隊への「仕返し」に備えてシリア上空で待機していたと従来の発表を訂正
また20日、ロシアのラブロフ外相はロシアのTV番組で、「今回のシリア攻撃前に、ロシアは米国に地理的な地域も含む「レッドライン」を伝えていた。結果を見ると、米国はそのレッドラインを越えなかった」と、今回のシリア攻撃を荒立てない姿勢を
・・・ということで本日は、4月14日に米英仏軍が行ったシリア攻撃を「戦術レベル」で振り返るべく、攻撃目標となった3か所のうち、弾薬の7割以上が投入され、ダンフォード議長が「シリアは長年蓄積した研究開発データを喪失し、専用機器や高価な化学兵器の材料となる物質を失った。シリアによる化学生物兵器の研究開発使用能力を長期間にわたり低下させる」と表現した研究施設への攻撃を振りかえります
冒頭で紹介したように、当該研究施設には76000ポンド以上の弾頭が投入されました。通常は1個目標に2000ポンド2発で十分なので、3棟の研究機関には2000ポンド弾6発(12000ポンド)で普通なのですが、少なく見積もっても6倍以上の爆発物が投入されています
そしてこの攻撃に対するロシアからの難癖、「本当に化学兵器が存在していて、それを攻撃したなら、爆発で周囲に飛散して周囲の人にも被害があったはずだ。現場で化学兵器が検知されていないということは、化学兵器は存在しなかったのだ」への米空軍幹部の反論をご紹介します
16日米空軍戦闘コマンド司令官は
●私は今回の作戦計画に関与していないから細部を語る資格はないが、ロシアが主張するような周辺への化学兵器の飛散を「局限:mitigate」するような攻撃計画で実行されたはずだ
●空軍人としての常識的な知識から語らせてもらえば(in generic terms)、化学兵器施設への攻撃は徹底的な目標分析を必要とし、更に風や気象条件や他の諸要因を含めた検討を基に計画される
●そして適切な兵器とその数量が慎重に選定され、化学兵器の周辺への飛散を局限する攻撃方向や角度が検討される
●当該研究機関に投入された弾薬量に注目すべきだ。その量が周辺への飛散を局限するため、焼き尽くすために計算されたものであろう
///////////////////////////////////////////////////////////
前後の写真をご覧いただいてわかるように、周囲には一般の建物が立ち並んでいますが、目標の敷地内だけが完全に破壊されています。
18日時点で、国防省報道官は民間人への被害はゼロだったと発表していますので、76発は任務を果たしたと考えられます
どの窓、どの入り口、どの方向からどのような角度でトマホークやJASSMを投入するのかも綿密に検討されたのでしょう。JASSMの射程を500㎞として、EA-6Bの電子戦支援を受け、B-1B爆撃機は落ち着いて任務を遂行したのでしょう
JASSM関連記事
「日本も導入へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-09
「ポーランドに70発輸出承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-30
「B-52をJASSM搭載に改良」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「JASSM-ERを本格生産へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1
「空中発射巡航ミサイルの後継」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-12-1
「JASSM-ER最終試験」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-10-1
LRASM関連の記事
「LRASM開発状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-17-1
「米軍は対艦ミサイル開発に力点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
「ASB検討室の重視10項」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-04
「LRASMの試験開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-23
「新対艦ミサイルLRASM」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19