トランプの宇宙軍独立論に米空軍真っ青

昨年から下院を中心に盛り上がる「空軍から宇宙部門を独立させ宇宙軍創設」論を、トランプ大統領が突然取り上げ米空軍真っ青!
trump-Space.jpg13日、サンディエゴの米海兵隊基地を訪れたトランプ大統領が陸海空海兵隊と同列の宇宙軍(space force)創設を検討していると兵士たちを前に演説し、「素晴らしいアイディアだ!」と大いに乗り気な様子をトランプ節で語りました
この米空軍からの宇宙部門独立案は、昨年の今頃から下院を中心に具体化が進み、下院は宇宙軍独立法案を昨年可決しましたが、上院を通過することができなかったものです。
宇宙軍創設の背景には、米空軍が戦闘機や爆撃機にばかり資源を投入し、今や陸海空と並ぶ重要ドメインである宇宙への投資を疎かにしているとの、米空軍への根深い不信感があります。
Wilson_Goldfein.jpgこれに対し米空軍は、空と宇宙は一体で一元的な運用が望ましい、軍事脅威が高まる中で分離することで混乱が生じる、管理部門など無駄が生じると反論し、同時に急きょ宇宙担当部長や大将ポストを設けたりと、「宇宙命」を示そうと見え見えの施策を連発してきたところです
これまでは下院の一部の議員の「思い入れ」で動いていた感もある「宇宙軍独立案」ですが、ここにきてトランプ大明神が推進派に加わるという米空軍にとっての「悪夢」が現実のものとなったわけです。
空軍長官や空軍参謀総長は、直接大統領に説明したいとコメントしてるようですが、さぁ・・・どうなることやら・・・。とりあえずトランプ発言をご紹介します
14日付Defense-News記事によれば
Space Fence1.jpg●13日トランプ大統領は、自身が定めた国家安全保障戦略を引用しつつ、「宇宙は今や陸海空ドメインと並ぶ戦いの場である」、「宇宙軍の創設を検討している」と演説した
●そして「我々は宇宙で膨大な仕事を行っており、恐らく新たな軍を創設する事を考える必要がある」、「Space Forceと呼んでもいいだろう」、「その時はそれほど真剣に考えていなかったが、素晴らしい考えだと思うようになったし、そうしなければならないのではないか。大きなbreaking storyになるだろう」と語った
●この宇宙軍独立論は下院議員2名の先導で昨年話題になったが、国防省に宇宙軍独立の成否についての報告書を2018年末までにまとめるよう要求して一旦決着している。ただし2名の議員は戦いの継続を誓っていたところ
マティス国防長官や米空軍は、宇宙軍独立による不要な官僚機構の創設や現場の混乱を理由に反対しているが推進派は中国やロシアに宇宙分野で猛追を許しているのは米空軍の資源配分に問題があるからだと強く主張している
Trump-NATO.jpg●14日、下院予算配分会委員会で空軍参謀総長はトランプ演説に対し、「大統領が宇宙の重要性を認識し、宇宙作戦の能力強化に関心を示している事は素晴らしいことだ。ただ発言を真摯にとらえている。本件について話をすることを楽しみにしている」と語った
●同じ場で空軍長官は大統領の発言に対する反論は展開せず、「大統領と副大統領が宇宙に関心を持っていることをありがたく感じている」と述べるにとどめたが、議会の後で「2019年度予算案には18%増の宇宙関連予算を積んで能力強化に努めている」、「統合の指揮統制能力強化の重要性を認識し、必要な対応を行っている」と語っている
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今後の展開に注目です。でも、混乱は避けたいものです・・・
米空軍内で戦闘機操縦者の後塵を拝している、宇宙部門を担当する幹部の本音を聞いてみたいものです。このトランプ発言を契機に、軍事メディアだけでなく、一般メディアも本件に参戦し、埋もれた意見や声が表面化することを期待します。、
宇宙軍を巡るつばぜり合い
「下院が独立法案承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-14-1
「下院が宇宙軍独立案を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-22-1
「米空軍はA-11設置で対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-18
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24

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