Pacific Partnershipに合わせ、1975年以来のベトナム訪問へ
22日付Defense-Newsは、23日から開始される環太平洋諸国の連携強化や人道支援及びその訓練を兼ねた第13回「Pacific Partnership」を紹介し、その期間中の3月上旬に空母Carl Vinsonがベトナム戦争以降初めてベトナムを訪問する計画だと報じています
この「Pacific Partnership」は、演習や訓練とは表現されない特殊な活動で、病院船と輸送艦が、多国籍の医療&歯科チームや 獣医チームや施設整備チームを載せてアジア太平洋諸国を回り、帰港国のチームと協力しながら協力関係を深めつつ能力構築を図る試みです
2004年12月にタイやインドネシアを襲った地震に伴う大津波被害対処を教訓に開始され、今回は6月までかけて米海軍の病院船Mercyと輸送艦Fall Riverに、米、カナダ、英、豪、仏、ペルー、日本のチーム計約800名が乗艦し、両艦が分かれてIndonesia, Sri Lanka, Malaysia and Vietnam、Yap, Palau, Malaysia and Thailandを回ることになっています
ベトナムへの「Pacific Partnership」枠組みでの病院船や輸送艦訪問は、5年連続であり、過去11年間で9回目の訪問となり、「Pacific Partnership」を主導する米国が地域との関係強化の鍵としてベトナムを重視していることが伺えます
記事は「空母Carl Vinsonが3月上旬にベトナムを訪問する。ベトナム戦争以降初の米空母訪問」とのみ報じ、それ以上空母の活動について言及がありませんので、その他の「Pacific Partnership」についてちょっとご紹介します
22日付Defense-News記事によれば
●「Pacific Partnership」全体の指揮官は米海軍の「Destroyer Squadron 31」司令官が務めるが、病院船の任務指揮は豪州軍人(全体の参謀長兼務)が取り、輸送艦の任務指揮は英海軍指揮官(全体の副指揮官)が行う多国籍指揮統制機構を採っている
●本イベントの全体統括を行う米海軍のDon Gabrielson少将は、「我々が直面する災害や人災は国境を超えるものであり、Pacific Partnershipを通じて培われる信頼の基盤は、地域やその周辺の人々の生活や環境を改善させる取り組みでの協力関係の基礎を強化するもとのなる」と意義を語っている
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防衛省の防衛白書も継続して「Pacific Partnership」への参加を紹介しており、自衛隊の医者が現地で治療する姿や施設作業を支援する様子、かつては現地の子供たちと縄跳びする姿などが紹介されていました
なんじゃこれ???・・・との印象の「Pacific Partnership」ですが、交流の第一歩との位置づけでしょう。TPPとは別の話ですので、誤解なきよう。
冬季オリンピックが終わったころに、米空母のベトナム訪問が報じられるかもしれません。対中国で話題の無い米軍の貴重な動向ですのでお楽しみに
アジアを考える記事
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