「ここにいる皆の中にハッカーはいるか? もしいたら、私に教えてくれ。再契約のボーナスを支給するから。冗談じゃないぞ」
1月20日、Neller海兵隊司令官が恐らく中東湾岸諸国の米海兵隊展開基地で兵士たちに向け、冒頭の発言を行いました。
同司令官がこのような発言を行ったのは初めてではなく、昨年12月に世界中の米海兵隊展開基地を訪問した際にも、同様の趣旨の発言を行っているようです
米海兵隊は2018年度予算に約1000名の増員を組み入れ、サイバー戦や電子戦専門要員を、他の必要とする専門家と共に増強する方向にありますが、なかなか人集めは容易でないようです
冒頭発言の際も聴衆の海兵隊員の中で手を挙げたものはいなかったようですが、海兵隊の各部隊ではサイバーの素養を持った人材の洗い出しや、特別キャリアの準備が行われているようです
しかし、当初からサイバー能力のみを基準に兵士を採用するか、サイバー能力を持つ人材を如何に引き留めるか等、どこの軍隊にも共通の悩みが、米海兵隊の悩みに凝縮されているようですのでご紹介しておきます
22日付Military.com記事によれば
●冒頭の発言を海兵隊司令官が行った時、誰も手を挙げる者はいなかったが、それでもメッセージは確実に届いたはずである。当日の夜、同司令官は駐留する兵士たちと懇談する時間も設けていることも兵士たちには知らされていた
●海兵隊の指導者たちは、サイバー戦部隊を構築したいとの思いを声に出してあちこちで語っており、2018年度予算案で増員が認められたサイバー要員の確保に懸命だ
●ただし、Neller司令官は野戦砲の火力よりサイバー妨害のほうがより重要になるだろうと考えており、2018年度予算レベルのサイバー要員増では満足していない
●昨年12月の部隊訪問で同司令官は、海兵隊内の人的資源を最大活用したいと語り、「サイバー部隊を特殊作戦軍のようにしたい」、「一度所属したら離れる必要がない職域にしたい」と表現している
●そして、他の海兵隊の職種の兵士のように、一時的に募集事務所勤務や新人教育部隊の教官になったり決してならない、専門的な要員として管理される
●同司令官は、例えば大学で関連学位を取得したような兵士がいたら、特別に契約し、他職域兵士のような経歴管理は行わない事を想定しており、「私はそうしたいのだ。必要な要件を満たし、試験を通過する人材なら、そのような処遇にしたい」と語っている
●また司令官は特殊部隊兵士の採用法と似ていると表現し、特殊部隊要員は、選抜係が部隊を見て回り、油研を満たしそうな人材を見つける方法で選ばれているが、この方式をサイバー要員にも適応したいと考えている
●一方で、サイバー要員兵士の採用を、他の一般海兵隊兵士と区別し、通常の基礎訓練を経ずにサイバー専門の要員として特殊能力を持つ人材をとして行うとの案もしばしば持ち上がっている
●しかし、同司令官はこのような特別扱い良くないと述べ、海兵隊員のシンボルである徽章の価値を低下させることにつながると語っている
●もう一つの大きな問題は、サイバー能力の高い兵士を部隊に引き留めるだけの処遇をどうするかである。つまり一般社会では年収が1千万円以上となる人材をどのように引き留めるかである
●同司令官は「我々はどのように人材を確保するかだけでなく、そのように彼らを引き留めるかの問題にも直面している」と語っている
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具体的に言えば、サイバー要員を確保するため、例えば入隊時の身体検査基準を緩和するか?・・・という問題です。
サイバー要員に対しては、新兵教育部隊でのランニングや銃を持っての戦闘訓練を免除するか・・・との悩みです
戦いの変化に合わせ、兵士に求める素養を変化させるか?・・・との根本的な問いでもあります。悩ましいですね・・・
民間ハッカーにチェックを依頼
「米空軍ネットをハッカーがチェック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-12-23
「発展版Hack the Pentagon」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-16
「第1弾成果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-20-1
「計画発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-04-1
サイバーと宇宙関連記事
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2302888136-1