3日付米空軍webサイトは、米空軍研究所AFRLを中心とした開発チームが、衛星搭載の太陽光発電パネルの効率性・耐久性・軽量化・省スペースを画期的に向上させる技術IMM(Inverted Metamorphic Multi-Junction)を開発し、現在宇宙空間で試験中で、今年には衛星搭載の使用承認が得られるだろうと紹介しています
米空軍研究所が発信元の記事は極めて技術的な内容で、専門用語の理解がほとんどできないのですが、地上で広く使用されるシリコン製太陽光パネルのエネルギー交換比率が最大で25%程度のところ、IMM太陽光パネルは32%を達成し、従来の衛星用パネルよりも15%交換比率を向上させるとのことです
IMMの日本語訳は、「反転変性多接合太陽光パネル」との用語が当てられているようですが、AFRLを中心に2000年代中旬から研究が始まった技術の様です
3日付米空軍webサイト記事によれば
●近年、衛星への搭載機器の高度化で使用電力が増えており、衛星の電力需要は増加の一方であることから、太陽光発電パネルの技術開発が期待されていた
●米空軍研究所AFRLは、米国防省関係機関や関連企業と協力し、軍用衛星用の低コストで効率性の良い多接合太陽光パネル(multi-junction cells)の開発を進めていた。ただ放射線の影響や温度変化の激しい宇宙空間で、耐久性を求める太陽光発電パネルの開発は容易ではなかった
●従来比で15%も変換効率を向上させるIMMにより、空いた衛生の表面スペースに他の装置を搭載したり、増加した供給電力でより高度な装備を衛星に搭載可能となる
●地上で多く普及しているシリコン製の太陽光パネルとは異なり、層状になった多接合太陽光パネルは、層により異なった太陽光周波数を電気に変換する仕組みとなっており、より広帯域の太陽エネルギーを活用可能である
●今回開発されたIMMは、この多接合太陽光パネルの形成を「Inverted:反転変性」する点が画期的で、より効率的に軽量で柔軟性がある太陽光パネルを形成できる
●現在、56枚のIMM太陽光パネルがそれぞれ搭載された2個の箱型衛星が宇宙空間にあり、太陽光パネルの試験が行われており、「S-111基準」を今年中には取得できる模様である
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この技術が中国等に流出しないことを願うのですが、反対に日本にはぜひ開発に貢献してほしいものです
自然エネルギー開発には世界のマネーが流れ込んでおり、世界中がお世話になる宇宙アセットですから、官民の力を合わせ良いものを生み出したいものです
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