中国国防省がJ-20運用開始を公式宣言

Wu Qian.jpg9月28日、中国国防省の報道官が記者会見で、公式にJ-20戦闘機が運用を開始した(commissioned J-20 into service)と発表しました。
しかし一方で、飛行試験は順調に予定通り進んでいるとも表現しており、以前にも米国防省高官の見方をご紹介したように、中国国防省での「運用開始」とは、最前線での任務に投入可能との意味ではなく、正式な作戦運用試験が可能になったとの意味で、今後は他の航空機との連携試験や運用コンセプトの検証試験が可能になる・・・程度の意味と認識したほうがよさそうです
それでも、今年3月9日に中国国営TVが「J-20が運用を開始した」と報道したのとは異なり、公式に中国国防省が中国的な「運用開始」を宣言したということなので、ご紹介しておきます。
9月28日付Defense-News記事によれば
J-20bank.jpg既に低レート生産体制に入っているといわれている中国空軍J-20は、少なくとも6機の試作機が、2016年からDingxin空軍基地(各種装備品の開発試験基地)の第176航空連隊で試験を行っている
中国空軍内では第4世代機に分類されているが、西側では第5世代機に含まれると解釈されるステルス性を持つ中長距離戦闘機である。ただし、ステルス性に関しては機体を正面から見た場合に限られる
台湾の専門家が最近外観の形状からJ-20のステルス性をレーダー反射面積から評価し、ステルス性は正面からののみとの一般的見方に同意する結果を得たようだが、機体の表面処理や塗装については評価できていない
●また中国空軍のJ-20操縦者の発言から、J-20があるレベルの「sensor fusion」能力を備えていることが確認されているが、細部は不明である
●ステルス性に配慮し、J-20は胴体内兵器庫に弾薬を格納し、中央のメイン兵器庫には空対空ミサイルPL-12(中国版アムラーム)なら6発、機体両側面の小型兵器庫に各1発の短射程空対空ミサイルを搭載可能とされている
今年3月の記事でJ-20をご紹介
J-20groundgrew.jpg現時点で、中国は9機から12機のJ-20を保有しているか考えられている。2016年11月に広東省珠海(Zhuhai)の航空ショーで初めて2機が飛行する様子を披露
エンジンを2基備え、米国製F-22そっくりだと言われる中国CAC(成都飛機工業公司)製のJ-20は、8つのプロトタイプで様々な形態の飛行試験を2011年から開始しているが、兵器搭載試験は今も継続している
中国国営メディアもかつて言及しているように、J-20は必ずしも空中戦闘能力を追求した設計にはなっておらず、F-22やF-35と直接的な同類ではない
●全方位のステルス性能を追求せず、前方からのステルス性を追求していることから、高価値目標(AWACS、 空中給油機、 作戦機の大規模編隊、水上目標)に一撃を加え、帰投するような運用構想も考えられる
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正面からのレーダー反射面積を減らし、ひたひたと高価値目標(AWACS、 空中給油機、 作戦機の大規模編隊、水上目標)に接近し、一撃を加えて帰投する独特の運用構想に注目いたしましょう。
Dingxin.jpg米軍や周辺同盟国の西太平洋地域での作戦基盤基地が少ないこともあり、上記「高価値目標」の価値が一段と高くなる戦域ですので、中国空軍の考え方は大いに理にかなっています
Dingxin空軍基地は中国内陸北方部の位置し、なかなか公開情報が出てこない場所ですが、「戦闘機命派」が喜びそうな話題でしょうから、生暖かくフォローいたします
J-20関連の記事
「中国報道:J-20が運用開始?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-14
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02

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