無人給油機で空母艦載機行動半径倍増へ

MQ-25 6.jpg8月31日付米海軍協会web記事は、米海軍航空司令官Mike Shoemaker中将がこれまで誰も具体的に語らなかった無人艦載給油機MQ-25 Stingrayの運用効果に言及する様子を紹介しています。
具体的に、現在のFA-18の最大行動半径は約450nmだが、MQ-25導入によりこれを300~400nm延伸できる語り、懐かしのF-14Dトムキャットが引退した2006年まで確保していた650nmを超える活動半径を獲得できるとしています
また以前ご紹介した精密着艦誘導装置「MAGIC CARPET」 の導入で搭載燃料に余裕ができ、また搭載兵器の射程や能力向上も相まって、空母艦載機の総合的な戦闘能力が向上させるとの構想(夢)を語っています。
8月31日付米海軍協会web記事
Shoemaker.jpg●Shoemaker海軍中将は米海軍研究所の機関誌「Proceedings」に対し、2019年からの運用開始を目指して企業提案に向けた準備が進められているMQ-25 Stingrayの導入で、FA-18やEA-18Gの作戦行動半径が最大400nm延伸できると語った
●同中将はMQ-25が、空母から500nm離れた地点で、15000ポンドの燃料を艦載機に提供可能との数字を挙げて運用構想に言及した
●具体的には、現在450nm程度しかない艦載作戦機の行動半径が、300~400nm延伸して700nmを超える距離になると同司令官は表現し、2006年まで米海軍が使用していたF-14Dがドロップタンク2個を使用して可能だった半径650nm運用と比較して語った
●また海軍航空部隊の指揮官として同中将は、現在FA-18飛行時間の3割程度を割いている給油任務を軽減することで、FA-18への負担を減らして本来の作戦任務に充当できる点も、MQ-25導入効果として強調した
●艦載の空中給油機は、任務用給油と帰還時給油の2つのタイプの給油を行うが、MQ-25はその両方をFA-18給油型よりも効率的に行うことが可能で、4~6機の面倒を見ることができる
●またMQ-25と合わせ、精密誘導誘導装置「MAGIC CARPET」の導入によって、帰還時の安全確保予備燃料提供用の空中待機給油機のニーズが減少することも期待できる
MQ-25A Navy.jpgMQ-25の操縦者について同中将は無人ヘリMQ-8B/Cを有人ヘリ操縦者が「cross-train」で要請配置する方式と似た方式を考えており、「MQ-25を運用する小さな派遣部隊を編成して空母に派遣することになろう」、「操縦者はFA-18、E-2、EA-18G、F-35から要請されるだろう」と語っている
●しかしMQ-25の価格については言及がなかった。価格については、6月にMQ-25開発計画責任者Mark Darrah少将にインタビューした際も言及を避け、「最初に価格目標を企業に提示するのではなく、要求性能を提示して企業の提案価格を聞き、その後に要求とのトレードオフを検討するアプローチを考えている」と説明していた
●現在MQ-25計画は、最終的な提案要求書の詰めに入っており、Richardson海軍作戦部長が望む2019年の運用開始に向け、「Northrop Grumman」、「General Atomics」、「Boeing」、「Lockheed Martin」が提案を行う方向にある。
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まぁ・・もちろん艦載機の行動半径が伸びることは好ましいことですが、今の中国軍の対艦兵器や搭載アセットの行動範囲を考えれば、効果の程は限定的ではないでしょうか?
第2列島線付近にまで空母が後退することも十分考えられますからねぇ・・・
MQ-25A-3.jpgMQ-25操縦者の確保については、説明がよく理解できません無人ヘリの「cross-train」に似たようなとか、「small detachment of officers who run the MQ-25」を設置するとか、もう少し説明が欲しいところです。
無人機の導入実績からすれば、運用環境が厳しい海軍は空軍よりはるかに慎重ですが、それだけに海軍の無人機導入は「人間の物語」としても面白そうです
驚きのMAGIC CARPET
「F-35Cの着陸精度が素晴らしい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22
「FA-18とEA-18Gにも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-09
MQ-25のゴタゴタな道のり
「MQ-25のステルス性は後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-27 
「CBARSの名称はMQ-25Aに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-17
「UCLASSはCBARSへ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02
「UCLASS選定延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-05-1
「米海軍の組織防衛で混乱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01
「国防省がRFPに待った!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12

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