18日付Defense-Newsが米国防省F-35計画室報道官から得た情報によれば、米空軍で6月までに5件発生した「低酸素症のような症状」に対処するため、未だ原因は特定されていないものの、F-35の酸素生成装置(OBOGS)を改修交換する方向にあるようです
この事案は、米空軍のF-35操縦者養成のメッカ「Luke空軍基地」で発生したモノで、6月9日から21日にかけ同基地はF-35の飛行を停止し、調査チームが約1週間に亘り関係者への聞き取りや機材をチェックしましたが、未だに原因を特定できません
6月21日に飛行を再開した際には、操縦者への同事案発生時の対処再教育、同事案が発生した高度帯での飛行制限、予備搭載酸素量の増加などの対策を行うことを条件としていましたが、7月19日からは更に総合的な調査チームが入って広範な可能性をチェックするようです
18日付Defense-New記事によれば
●酸素生成装置(OBOGS:onboard oxygen generation system)に対する改修は、酸素の濃縮抽出アルゴリズムをより洗練する等の処置だと同報道官は語った
●一方で同報道官は「既に搭載されているOBOGSが今回の事案に関係しているとの証拠は何もない」と述べ、それでも様々な飛行高度での酸素量を再調整することで、これ以上の事案発生を防止できるかも知れないと説明した
●F-35計画室報道官は、OBOGSを製造する「Honeywell」が同装置と3タイプ全てのF-35機体改修を担うが、「コスト見積もりは実施中で、現時点では約24ヶ月(機体改修に)必要だと見積もっているが、より早期に新OBOGSを搭載するよう促していく」と説明した
●現時点ではこの問題はF-35A型にのみ発生しているが、米海軍練習機のT-45やFA-18で同様の事象が発生したケースでも、何が原因か特定できていない。
●特にこの問題で難しいのは、「低酸素症のような症状」が様々な原因で発生するからだ。血液中に過剰に酸素が含まれる場合や、酸素が汚れていた場合などでも発症することから、一つに要因を絞り込むことが容易ではない
●しかし調査は続いており、F-35計画室、米空軍F-35準備室、米空軍と米海軍の医療関係者などがチームを組んで対応している。例えば、OBOGSの各パーツを再試験したり、生命維持装置全体を確認したり、耐久性を試験したり等々が行われている
●同時にF-35計画室は、身体や空気の異常を監視するセンサーを付加することも検討している。また、Luke基地特有の気候や環境の影響がないか等を確認するため、19日から8週間かけて同チームが現地で調査を開始する
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OBOGSの仕組みや構造に関する専門的な話は分かりませんが、もやもや感が漂いますねぇ・・・。同時期に海軍の練習機T-45でも同様の事象が発生していることも気になります。
そろそろ、現場パイロットの「生の声」が飛び出しそうな予感も致しますが、「F-22の教訓」を生かし、また海外売り込みへの影響を懸念し、国防省も空軍も懸命に取り組んでいる様ですので、静かに見守りたいと思います。
でも、原因不明なのに企業(Honeywell)が改修を受け入れるとは・・・これもまた不思議・・・。コストについては精査中なのに・・・。あまり考えると、また性格が歪んでしまうので・・この辺りで。
時系列記録:F-35低酸素症(疑い)事案
「F-22事案の教訓を生かせ!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-11
F-22事案を振り返る
「最終的に飛行再開・原因特定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-25
「不沈F-35と低酸素F-22」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-09
「F-22再度飛行停止と再開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-24
「F-22操縦者に謎の症状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-31