9日、米空軍宇宙コマンドの各種指揮官を務める3名の大佐が、米空軍協会ミッチェル研究所でパネル討議に臨み、同コマンドの課題や取り組みを語り、中東重視体制からアジア太平洋に目を向ける際の課題などについて語っています
技術的な細部には当然言及しておらず、まんぐーすも背景知識が不足していますので十分な紹介ができませんが、訓練体制の強化や同コマンドのサイバーへの取り組みについても語っていますのでご紹介します
12日付米空軍協会web記事からご紹介します。最近、同webサイトのレイアウトが変わり、情報量が増えたようで何よりです。読者として感謝いたします!
中東だけでなく太平洋域でも活動する課題
●9日に開催されたイベントで3名の米空軍宇宙コマンド「Space Wing」指揮官(全員大佐)は、これまで中東戦域での活動に焦点を当ててきたが、準備が十分でないアジア太平洋地域での作戦に備える必要があると語った
●主に無人機操作用の宇宙通信を監視する宇宙管制装置(defensive space control unit)を、中東地域に3台配置しており、カタールとヨルダンとシリア北方にそれぞれ置かれている。なおシリア北方は、我々が経験した最も辺鄙な配備場所である
●我々は中東戦域での様々な作戦要求に対応するため、運用要領や戦術や人員配置を改革してきたが、その代償としてアジア太平洋地域への対応準備が十分できていないのも確かである。
●ただ、アジア太平洋戦域での宇宙管制任務は、極めて難しいものになる。そして大きな課題の一つが技術的なもので、マルチバンド周波数の必要性だと第50宇宙航空団のDeanna Burt大佐は説明した
●そして同大佐は、中東とは異なり太平洋域で戦うために戦力を投入した場合、太平洋域の厳しい軍事環境では周波数ホッピングが求められるが、単一バンド周波数対応の現在の受信機にはその能力がないと語った
●更にそのような厳しい環境下で任務遂行するための最先端の訓練が不十分で、また部隊体制も整っていないと第460宇宙航空団のDavid Miller大佐は語った
新たな演習開始や兵力不足への対応
●そして同大佐は、宇宙コマンドにも操縦者用の「レッドフラッグ」タイプの演習が必要で、単にレッドフラッグに参加して航空機を支援している現状では訓練が不十分だと主張した
●そこで新たな取り組みとして、これまで無かったような訓練環境を与えるため、4月に初の「Space Flag演習」を実施し、8月か9月に2回目の実施を計画中だと説明した。
●更なる訓練の課題として、第210宇宙航空団のDouglas Schiess大佐は人員不足を上げ、中東を中心とした派遣期間が長引き、最低限の休暇期間を与えると訓練時間が捻出できないと、元来小規模な宇宙コマンドへの負担の現状を訴えた
●対策の一環として同大佐は、州兵部隊をカリフォルニア州、フロリダ州、コロラド州に派遣して正規兵の負担軽減に努めていると説明し、仮にアジア太平洋での作戦を求められれば、このような施策が欠かせないものとなると設営した
●別の人員不足対策としてBurt大佐は人工知能などによる自動化を唱え、米軍のアキレス腱と言われるサイバー防衛への導入に取り組んでいると説明した
●現在同コマンドは、人間がそれぞれの機材を「man-to-man defense」でサイバー監視しているような状態だが、このような人海戦術でなく、「big data技術」や「中央集権型サイバー防衛」で人員効率的な形が望ましいと述べ、時間はかかるが取り組んでいると説明した
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相変わらず基礎知識不足で中身が深まりませんが、アジア太平洋戦域で「周波数ホッピング」が必要なのは、中国や北朝鮮やらに衛星管制用の電波等が妨害されたり傍受されたりする恐れがあるからだと理解しています
また宇宙管制装置(defensive space control unit)がどのようなものか承知していませんが、ぜひ日本にも設置し、有事の備えにしていただきたいものですし、RQ-4グローバルホークの運用にも活用させてほしいものです
米空軍が戦闘機や爆撃機や空中給油機など航空アセット優先で投資することに我慢ならず、宇宙分野を空軍から切り離せと議会が要求していますが、確かに、今日ご紹介した3名の大佐のご苦労を考えると、そんなオプションのあるのかな・・・と思います
米空軍が宇宙活動アピール
「商用データも活用へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-05-20-1
「JICSPOCからNSDCに改称」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-06
「米空軍が宇宙活動アピール作戦を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-24