米国東部時間の1日朝、Space-X社が「Falcon 9」が初の国家安全保障関連の衛星打ち上げに成功し、売り物である第1段目の垂直着陸回収にも成功しました。
快晴の中で行われた見事な垂直着陸の映像が世界中に配信されていますので、ご紹介します
米国の政府関連事業打ち上げ(軍事衛星など)は、2006年12月にロッキードとボーイングの衛星打ち上げ部門が合併して誕生したULA(United Launch Alliance)が独占し、打ち上げ価格の高止まりなど、競争相手が無いことの弊害が指摘されて来ました。
そこに有名企業家Elon Musk氏が率いるSpace-X社が「Falcon 9」ロケットで参入し、打ち上げ失敗と鈍重な官僚的手続きを乗り越え、2015年5月に参入承認を獲得して大きな期待を集めていました。
しかし2015年6月の国際宇宙ステーションへの物資輸送と、2016年9月のイスラエル商用通信衛星打ち上げに失敗し、米国当局が政府関連事業に備えた安全性確認を再度行っていたところでした
そんな中でもSpace-X社は、打ち上げコスト削減の鍵であった「第1段目ロケット」の「垂直着陸回収」に挑戦し、何回かの失敗を乗り越え、2015年12月に回収に成功しています。
その他、民間宇宙飛行ビジネスや大型打ち上げロケットにも同社は挑戦しており、その元気な動向が注目されています
5月1日「第1段目の垂直着陸回収」映像(約1分半)
1日付軍事メディア報道によれば
●打ち上げは当初、4月30日の日曜日に予定されていたが、センサーに異常が見つかり、5月1日に延期されていた。
●同社CEOのElon Musk氏は、1日も上空の風が強く限度いっぱいの98.6%だったが、ぎりぎりのコンディションを苦にせず、打ち上げは成功したとツイッター上で振り返っている
●打ち上げはフロリダ州のケネディー宇宙センターで行われ、国家偵察局NRO(National Reconnaissance Office)の非公開衛星衛星を打ち上げた。衛星の細部は一切明らかになっていない。
●「第1段目の垂直着陸回収」は「Cape Canaveral空軍基地」で打ち上げ数分後に行われた。成功の様子を伝える映像に、カリフォルニアの同社本部は歓声に包まれた
●陸上で「第1段目の垂直着陸回収」に成功したのは4回目で、海上も何回か成功している
●同社はまた、回収した「第1段目ロケット」の再使用発射を4月に成功している
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「Falcon 9」ロケットの第1段目を再利用可能となったとして、重要性が高く代替衛星の確保が簡単ではない「政府関連事業衛星」を、まだ実績が十分でなくリスクがある「再利用ロケット」で打ち上げるかとの問題が指摘されており、すぐさま打ち上げコスト削減につながる状況ではないようです
また「Falcon 9」ロケットは打ち上げ可能重量が小さく、大型の衛星や物資運搬には使えません。
そんなこんなのSpace-X社「Falcon 9」ですが、失敗を乗り越え、着実に実力と実績を積み重ねています。今後も応援したいです!!!
Space-X社の参入とULA
「イスラエル通信衛星失敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-06
「ロケットの着陸回収に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-25
「混迷の米衛星打ち上げ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-24
「10年ぶり米軍事衛星打上げに競争導入」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-03
「軍事衛星打上げにSpaceX参入承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-27