20日付各種報道によれば、米空軍F-35の初海外展開訓練先は予想通り英国のLakenheath空軍基地で、15日土曜日に6機が移動し、途中で故障が発生した2機が後を追う形で、欧州大陸で数週間訓練を行う事になると、19日に米空軍幹部が明らかにしました
Hill空軍基地(ユタ州)所属の第34戦闘飛行隊が今回の移動訓練を行い、隊長であるGeorge Watkins中佐は、今回の展開中は「Baltic Air Policing」等の作戦任務を行う事はないが、大洋を渡るという新たな経験と、派遣先で「a different power system」を立ち上げる経験を積むと説明しました
なお、この規模の海外展開はF-16が通常行う規模の機数ですが、同行兵士が人員245名と通常より多くなっているのは、展開訓練をより多くの兵士に体験させたいためと、警備要員を増やしているからだとの事です
20日付米空軍協会web記事によれば
●19日の記者会見は電話回線を通じて行われ、展開訓練自体は長期間の計画に基づいて行われているもので、「European Reassurance Initiative」予算を使用しているモノの、政治的な意味合いは何も無いと欧州米空軍報道官は説明した
●同飛行隊長は、同部隊はアイダホ州Mountain Home空軍基地やネリス空軍基地への展開を経験済みで、また今回の英国展開に備え、母基地の反対側に装備や必要施設を移設する訓練を行ってきたと説明した
●(明確な訓練期間には言及せず、)移動訓練間、最初の1週間程度はLakenheath基地所在のF-15CやE型と、1VS1や2VS2の空対空や空対地訓練を行うと述べ、実弾は搭載しないが、、訓練想定上は、アムラーム、2000ポンドJDAM(GBU-31)、500ポンドレーザー誘導爆弾(GBU-12)を使用すると説明された
●その後は決定したわけでは無いが、英空軍のタイフーン戦闘機やオランダ空軍F-16とも訓練を行う案がある模様。また、他の欧州NATO基地への慣熟訓練飛行も検討しているが、他基地で演習等を行う予定はなく、設備が不十分な基地への慣熟飛行も予定にはないとも説明があった
●自動兵站情報システム(ALIS)は機体に先立って移動を完了し、展開先でのシステム設置も記録的な短時間で実施できた模様で、同飛行隊長は「システムが順調に稼働しており嬉しい」と装直な感想を述べた
●また、機体表面のステルス性は、展開訓練間を通じ「combat levels」に維持されるとも語った
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ここ数日、アラスカ周辺でロシアの大型爆撃機が(威嚇?)訓練飛行を繰り返しているおり、シリアへの巡航ミサイル攻撃への反応なのか、よく分からないながら対露の緊張感は高まっています。
そんな諸情勢を考慮したのか、上記記事によれば、このテレビ会見に登場したのは女性大尉の報道官と飛行隊長の中佐だけで、通常の訓練である事を強調しているかのようです。
訓練に関しては、揚げ足を取る趣味はありませんが、「ALISが稼働して幸せ」とか「実弾は使用しない」とか、緊急事態が発生しても「実任務には転用しない」とか、初期運用体制IOC確立を宣言して半年以上経過していながら、何とも寂しい中身です。
でもロシアの偵察機が、頻繁に英国周辺に飛来し、情報収集等に努めるのでしょうが・・・
「突然のF-35海外展開訓練発表」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-15