各種報道によれば、サウジ国王が訪中していた3月16日、サウジと中国が中国製の無人攻撃機CH-4の工場をサウジ工業団地内に設置する事で合意していた模様です。
サウジ国王はその直前の訪日の際、1000名を超える随行者と高級ホテルや高級車大量借り上げで話題になり、脱石油に向けた経済連携が目的だったと大きく報じられましたが、中国では約7兆円のビジネス契約が結ばれたと報じられており、軍事と経済両面ではこの無人機工場で米国ヘッジが図られたようです
話題の中国製無人攻撃機CH-4は、写真からお分かりのように米国製無人攻撃機MQ-1 Predatorにそっくりで、如何にも中国らしい兵器ですが、既にサウジを含む中東の複数の国に輸出され、その性能が評価されており、サウジ工場は自国の追加購入と中東諸国への追加提供と維持整備拠点になる模様です
なお、CH-4の国外工場は既にパキスタンとミャンマーで稼働中で、サウジ工場は国外3番目の工場になるとか・・・。過去5年間で軍需品輸入額が86%も増加した中東諸国で、「一帯一路」構想の中国がしっかり足場を固めています
3月22日付South China Morning Post紙によれば
●無人攻撃機CH-4サウジ工場の設置については、2月にアブダビで開催された軍事見本市IDEXで、両国関係企業の間で大筋の合意が図られていた。
●3月中旬のサウジ国王訪中では、エネルギー、文化、教育、技術分野等を併せて計約7兆円のビジネス契約が両国間で結ばれ、中国企業CASCとAbdulaziz国王科学技術都市が結んだ工場建設契約もその一部である
●無人攻撃機CH-4はMQ-1 Predatorと似た能力を持っており、偵察のほか着弾誤差1.5mの搭載ミサイルAR-1で対テロ作戦に威力を発揮しており、既にエジプト、イラク、ヨルダン、サウジ等々に輸出され実績を上げており、北アフリカにも売り込みを行われている
●CH-4製造関連企業で勤務経験のあるZhou Chenming氏によれば、同無人機は既にイラク、イエメン、スーダン、エチオピアやパキスタンでの対テロ活動に素晴らしい成果を上げており、将来性と自国需要のためサウジ側の共同事業への関心は非常に高かった
●スウェーデンの研究機関SIPRIによれば、CH-4が1機約4億円に対し、MQ-1は4機と管制装置セットで20億円と、約2割ほどCH-4が安価となっており、原油価格低迷が続く中、更に米国の中東での姿勢が不透明な中、中東各国は米国へのヘッジとして武器調達先の拡大を図っている
●またZhou Chenming氏は、石油確保のため世界中に触手を伸ばしている中国と、インフラを中国技術で改善しようとするサウジの思惑がかみ合ったと説明している
無人機CH-4と旧式弾道ミサイルの関係?
●マカオの軍事専門家Antony Wong Dong氏は、CH-4工場計画は、実現しなかった中国からサウジへの弾道ミサイルDF-21D(空母キラー)輸出(2014年)の代替プロジェクトではないかと推測し、「イランの核危機の最中、国際社会の強い反発から頓挫した同弾道ミサイル輸出の代わりだ」と説明している
●中国はサウジに対し、1988年に40発弱のDF-3A弾道ミサイル(射程2500km)を約4000億円で売却しており、老朽化したDF-3Aの後継にDF-21Dをサウジが要望したものだと言われている。ちなみに当時の4000億円は、中国国防費の約半分の金額であった
●なおDF-3取引により、サウジは台湾との国交を絶ち、1990年に中国と国交を結ぶ契機となった
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サウジ国王訪日は話題になりましたが、「訪中」でもしっかり成果を残していたようです。
本日の写真は全てCH-4ですが、中国製のCH-4は、MQ-1そっくりですね・・・。曲線がなく、無骨な直線的造りですが、恥も外聞もなく、盗んで真似て・・・でしょうか。
それにしても、CH-4無人攻撃機の中東や北アフリカでの活躍には驚かされました。
世界は刻々と変化してますねぇ・・・
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