3月22日、米国防省F-35計画室長のChristopher Bogdan空軍中将が講演後に記者団に対し、F-35の2つある内蔵兵器庫(Internal weapons bay)に、それぞれ1発づつのAIM-120アムラームを追加搭載する改修を検討していると語りました
現在は2つある内蔵兵器庫それぞれに、アムラーム2発またはアムラーム1発&JDAM1発が搭載可能ですが、これをアムラーム3発またはアムラーム2発&JDAM1発が搭載可能にする方向の検討が為されている模様です
米空軍では次世代制空機「PCA:Penetrating Counter-Air」(第6世代戦闘機とは呼ばない掟あり)が山場を迎えつつアリ、対中国の戦略・戦術環境を踏まえ、弾道&巡航ミサイル脅威が厳しく、かつ作戦根拠基地が少ない西太平洋戦域を念頭に、速度や機動性より、航続距離や弾薬搭載量をより重視する方向性が示されています
PCA関連の記事
「次期制空機検討は2017年が山!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「2030年検討の結果発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-02
具体的には、航空機弾薬庫(arsenal plane)なる用語が登場し、少ない機数を補うため、弾薬を多数搭載できる爆撃機(B-52)を最前線戦闘機等の「空中弾薬庫」としたり、有人戦闘機が無人機をウイングマンとして従える試験等が試みられています
また戦闘機自体にも、F-15の近代化改修オプションとしてボーイング社は「F-15 2040計画」を打ち出し、空対空ミサイル搭載数を現在の8発から16発に倍増するプランを提示しています。
現在の兵装形態も、多様な議論やシミュレーションを踏まえて決定されたのでしょうが、今になってF-35の兵装を「いじる」話が出てきたのは、上記のような脅威認識が背景にあると推測します
3月22日Bogdan空軍中将は記者団に
●内蔵兵器庫(Internal weapons bay)それぞれに各1発のアムラームAIM-120を追加搭載可能にすることで、ステルス性を犠牲にする事なく、空対空能力を強化できる
●第3のミサイルを追加搭載可能な潜在性をF-35は持っている
●機体改修が行われるのは、F-35能力向上「Block IV program」の一部としてであろうが、米軍もパートナー国等も興味を示しているところである
●F-35に追加搭載するためにアムラームを改修する必要はなく、現在使用しているそのままのAIM-120が搭載可能となる。恐らく、内蔵兵器庫の開閉式扉に追加搭載することになるだろう
●ただし追加搭載は単純作業ではなく、多くの機体設計や改修検討が必要となる。(注:いつ追加搭載が可能になるかの見通しについては、言及しなかった)
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「There is potential … to add a third missile on each side」との表現振りですが、ミサイル改修は不要とか、かなり検討が進んでおり、予算さえ許せばその方向に進むのかも知れません
「F-15を強制退役させ、改修F-16で穴埋め」計画が出てきた事が原因で、アムラーム2発追加搭載の話が出てきたわけではないでしょうが、米空軍は脅威の変化をうけた改革に努力しています。
しかし、左図を見る限り、簡単に扉に追加1発な様には見えないのですが・・・
今更、空対空戦闘かよ・・・とも言いたくなりますが、日本の戦闘機命派の皆さんは、巡航ミサイルを戦闘機で迎撃しようなどと考えているかも知れませんので、悪のりして「追加で2発アムラーム」を要求するのかも知れませんね・・・
戦闘機のことだから、追加の改修経費など簡単に他を犠牲にして捻出するでしょうし・・・
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多くの弾薬を前線へ
「弾薬庫航空機に向けB-52改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「同構想とB-52」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-12
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「現実的なF-15能力向上案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15
くたばれ日本の戦闘機命派
「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02
「F-35の主要な問題点」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-17
「F-3開発の動きと日本への提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-18
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