「E-2D、F-35B、陸軍の対地巡航ミサイル、JLENSはNIFC-CAへの融合試験に成功しているが、F-35CとFA-18とEA-18Gはこれからだ」
「高価な自律誘導装置付の精密誘導兵器だけでなく、安価な誘導兵器が活用可能になる」
23日までの3日間で開催され約15万人が参加した「WEST 2017」で、米海軍が対中国を強く意識した作戦構想として取り組むNIFC-CAの進展状況等について関係者が語っています。
「WEST 2017」は、米海軍協会等が主催する海軍&海兵隊&沿岸警備隊関係装備品の見本市と、関係者の講演やパネル議論が行われる行事で、今年はサンディエゴで開催されていますが、主要な海軍等関係者と企業関係者が勢揃いするイベントです
NIFC-CA(Navy Integrated Fire Control-Counter Air)については、米海軍等の作戦運用に直結することから、なかなか具体的な検討状況や進展具合が公表されませんが、断片的ながら冒頭に紹介した様な発言が出ていますので、ご参考まで取り上げます
NIFC-CAの基本については下記の記事で
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「最新型E-2早期警戒機が岩国へ展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-16
「F-35がNIFC-CA試験に初参加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
「日本&韓国とBaseline 9契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-28
「日本もNIFC-CAに参加?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11
「SM-6でBMD対処に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05
「Baseline 9 :イージス艦の進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23
22日付米海軍協会web記事より
●同会議で米海軍関係者は、見通し線外の目標が発見でき、その情報を迅速に正確に交戦参加者が共有できる世界がNIFC-CAで実現できれば、そこには従来多用してきた高度で高価な精密誘導兵器だけでなく、そうでない軽易な誘導兵器や通常兵器も選択肢に加わることになると述べた
●担当の米海軍中佐は、「より遠方の目標情報が、早期迅速かつ正確に、そして継続して得ることが可能な状況では、自らがセンサーや頭脳を搭載して遠方で自律的な行動を期待する高価な兵器は必要性が低下するだろう」と表現した
●米軍は、敵の高価でない目標を攻撃するため、高価な兵器を使用して経費がかさむことを問題視しており、前述の中佐が言及した、誘導装置と目標情報を入手できる程度の装置を搭載した程度の比較的安価な兵器が活躍できる環境が期待されている
●ただ同中佐も、多様なセンサーやアセットをネットワークに組み込むことが容易でないことを強調し、異なるセンサーやアセットからの質やフォーマットの異なる情報を融合するには、長期間にわたる多様な試験とソフト面での工夫が要求されると語った
●それでも同中佐は、米海軍はNIFC-CAをより広い範囲に拡大し、より信頼性を高めるべく取り組んでおり、これが成就すれば、ネットワークに加わる航空機や艦艇が「スマートさ」を増し、経費も節約できると説明した
●パネル討議で別のNIFC-CA担当官は、米海軍はこれまでに、E-2D、F-35B、陸軍の対地巡航ミサイル(Joint Land Attack Cruise Missile)、JLENSのNIFC-CAへの融合試験に成功しており、今後F-35CとFA-18とEA-18Gとの融合試験に取り組み事になると現状を説明した
●また前述の中佐は、「(空中を対象とした)NIFC-CAの最後の部分は対航空(counter air)で、全体から見れば限られた部分だ」、「国防省内で米海軍は、この取り組みを全ドメインでどう活用するかを考えている」、
●そして「現在はNIFC-CAの第一章であり、今後、水上戦や水中戦での脅威にどう活用していくかも、現在ワシントンDCで検討されている一つの取り組みである」と語った
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陸軍の対地巡航ミサイルが既にNIFC-CAへの融合試験を通過していたとは・・・ハリス太平洋軍司令官が南シナ海への「陸軍火力」の「出陣」を熱望していましたが、具体的に進んでいたんですねぇ・・・Happy Surpriseです!
飛行船のようなJLENSは、低空を侵入する巡航ミサイルを探知するためのセンサーですが、強風に係留鎖が切れて大きな被害を地上にもたらした事故で再開の目途が立たない状況です。
従って、要となるE-2Dと海兵隊のF-35だけが実質クリアーとなっているだけです
しかし、NIFC-CAの中核を担う肝心の海軍アセットFA-18やEA-18G、まだソフトが未完成とは言えF-35Cが「手付かず状態」とは、「日暮れて道遠し」感たっぷりです。
また、後日ご紹介する予定の米空軍NCCT(Network Centric Collaborative Targeting)との関係も気になります。米空軍が「高度にネットワーク化された次世代の戦いを支えるNCCT」と表現するものと、NIFC-CAは大いに同じ方向だと思うのですが・・・・
ハリス大将の南シナ海に陸軍火力発言
「南シナ海で陸軍に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「クロスドメインだ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-05
「地対艦ミサイルで」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-06