23日朝、F-35計画に衝撃のトランプツイート
米国東部時間22日午後5時26分、日本時間の23日朝午前7時26分、トランプ氏がツイッターで「ボーイング社に対し、F-35と同程度のF-18製造価格を問い合わせた」と発信し、F-35製造のロッキード社とF-18製造のボーイング社の株価を乱高下させる反響を呼んでいます
トランプ氏は12日にも、「F-35開発計画とそのコストは制御不能」「来年1月20日以降、多くの予算が他の国防分野や他分野に活用されることになろう」とツイートし、米国防省やロッキード社関係者を大慌てさせ、21日には国防省F-35計画室長がトランプ氏と面会し、ロッキードCEOも直談判説明を行ったようです
もちろん、F-35と同程度(comparable)のF-18が簡単にできるわけではなく、発言の真意は不明でアリ、コストが膨らむF-35計画への警告発言とも考えられますが、これだけ明確にターゲットを絞った発言が続くと、海外の購入国関係者の心中も穏やかではないでしょう
22日付Defense-Newsは本件に関し
●トランプ氏はツイートで、「ロッキードマーチン社F-35の恐ろしく莫大な費用とコスト超過を考え、私はボーイング社に同等のF-18製造価格を問い合わせたところだ」と発信した
Based on the tremendous cost and cost overruns of the Lockheed Martin F-35, I have asked Boeing to price-out a comparable F-18 Super Hornet!
●このツイートを受け、ロッキード株は2%値下がりし、ボーイング株は1.5%上昇した
●この発言が両社にどのような意味を持つのかは不明確である。F-35は数々の問題を抱え、経費超過が続いているが、ステルス性やセンサ情報融合能力を持っており、第4世代機のF-18をそのレベルの能力を持たせるには多くの時間と費用が必要だと考えられるからだ
●ボーイング社は最近クウェートからのF-18受注が決定し、生産ラインの稼働を延長させることが確定したことから現在の状況に満足しており、トランプ政権にも出来る限りの能力を提供したいとの姿勢である
●本件に関し、ロッキード社とエンジン製造のPratt & Whitneyはコメントを避けている
●航空業界コンサルタントのRichard Aboulafia氏は、「当面FA-18とEA-18Gへの投資を継続し、F-35空母艦載型への投資を抑えている米海軍にとっては悪い話ではないが、何れ海軍もF-35にシフトする計画だ」と語り、
●また、「FA-18は優れた攻撃機だが、空母での運用を想定した機体であり、5世代機のようにステルス性を追求するのは困難だ」と見ている
●(12日のF-35予算削減ツイートの後、)21日には国防省F-35計画室長Bogdan中将がトランプ氏と面会し、ロッキードCEOも直談判説明を行い、ボーイング社長もトランプ氏と議論している
●ボーイング社長は「トランプ氏らは極めて建設的で、良い雰囲気の会談だった。オープンで良い議論ができ大いに力づけられた」と語ったが、Bogdan中将とロッキードCEOはコメントを控えている
●一方トランプ氏は(一連の会談に関し)、「始まったばかりだ。これはダンスだ。ダンスのようなものだが、コストを下げ、この事業を美しく仕上げている」と語っている
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F-35関係者のクリスマスムードを吹っ飛ばしたトランプツイートですが、日本の関係者にも「米国側から何も連絡が無い」以上の積極的な情報収集をお願いしたいものです。
なお、最近の厳しいF-35計画への風当たりを受け、安全リスクを犯して試験を強行する様子が感じられる事象が発生していますので、後日ご紹介します
トランプ氏とF-35
「F-35予算削減ツイート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-13
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「F-35巡り国防省で内紛」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09