間違いなくF-35は対IS作戦に投入される

Carlisle AFA2016.jpg16日、米空軍戦闘コマンド(ACC)司令官のお馴染みカーライル大将が、ロンドンで開催された戦闘機を議論する会議で講演し、かつて無い複雑な作戦環境となっている対ISIL作戦に、高度な状況把握能力を持つF-35が派遣されることは「疑いない」と語りました
また併せて、他の地域からもF-35派遣の要望が多く、可能な限り早期に派遣したいとも語り、リップサービス的雰囲気を醸し出しつつもアジア太平洋地域にも言及しました
米空軍F-35の初期運用態勢確立宣言をした8月時点で同大将は、「F-35は、中東派遣のローテーション計画に組み込まれていないが、将来は同計画に加わることもあろう。欧州やアジア太平洋地域であれば、18ヶ月以内に展開することになろう」と中東派遣には慎重なニュアンスでした
F-35 Front.jpgまた一方で8月時点では第5世代機の海外派遣に関し、政治的&軍事的な「メッセージ効果が大きく、F-22やF-35の海外派遣に極めて慎重なグループが存在する」と表現しており、F-35の機体自体には問題が無いことを強調したいのか、F-35自体への不安を隠すために「派遣に慎重なグループ」の存在を活用したのか、曖昧な雰囲気が漂っていました
それが11月中旬になって、いきなり中東派遣に前のめり発言が飛び出した背景は何でしょう???
対ISIL作戦が山場を迎えて「猫の手も借りたい」気分なのか、部隊での状況からF-35の能力に自信を得たのか、はたまた空軍F-35と海兵隊F-35に連続発生(9月23日と10月27日)した機体火災に対する世界中の不信感を払拭したいからでしょうか???
なお8月末に海兵隊の戦闘展開コマンド司令官Walsh中将は、来年1月~8月に岩国への16機展開を完了した8ヶ月後(つまり2018年4月頃?)に、強襲揚陸艦USS Essexで中東軍エリアにF-35を輸送すると語っていた所です
16日のカーライル司令官発言概要
Carlisle-FB2.jpg16日、ロンドンで開催されたDefense IQ主催による「国際戦闘機会議:International Fighter conference」で、F-35が対ISIL作戦のために派遣されることは完全に疑いのないことだと語った
●そして、当該機の持つデータ融合やISR能力は、対ISIL作戦において鍵となる能力であると強調した
●更に「イラクやシリアを見て、その地上で発生していることや、上空に存在する複数のプレーヤーを考えると、かつて我々が経験したことのない戦闘環境だと言える。信じられないほど複雑なのだ」と表現し、
●「F-22やF-35が備えている状況掌握能力、情報伝達能力、リアルタイム情報センサー性能などは他機では実現不可能であり、それ故に当該戦域で計り知れない価値を生み出すのだ。F-35は大きな役割を果たしうる」と語った
世界の米軍からの派遣要望がある
Carlisle-FB3.jpg●米空軍F-35は運用態勢を宣言したばかりだが、既に中東以外でも必要性の声が上がっている。F-35が世界中で活動する様子をご覧頂けるよう、可能な限り早期に他の地域にも派遣したい
●行き先にはアジア太平洋も中東も欧州も含まれる。欧州軍司令官とも、在韓米軍司令官とも、太平洋軍司令官とも、中央軍司令官ともF-35派遣の話をしており、皆が同機の派遣を熱望している。その声に可能な限り早期に答えたい
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講演の中で、どのような文脈で米空軍F-35の海外派遣の話題に触れたのか、中東への派遣優先順位が上昇したのか不明確ですが、アジア太平洋や欧州よりも優先度が高くなった様な印象を受けました。
F-35canada.jpg名前の出た司令官の数では、アジア2名、欧州1名、中東1名なので、その優先順位だと考えたくもなり、フィリピンへのローテーション派遣の話題が春には米空軍高官から出ていた経緯もあり、色々考えてしまいます。
猫の手でも借りたいのか、能力に自信を得たのか、連続機体火災による不安感払拭なのか・・・はたまた、単に退役直前のカーライル大将のF-35ヨイショ発言なのか・・・そのうち明らかになるでしょう。
米軍F-35の海外派遣関連
「8月時点での米空軍の考え」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-03-1
「米海兵隊の考え:8月末」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03-1

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