9月21日、米国務省の武器輸出を審査する部局DSCAが、日本への空中給油機KC-46AのFMSを許可すると発表しました。DSCAは「Defense Security Cooperation Agency」で、FMSは「Foreign Military Sale」の略です。
この許可通知の中で目を引くのが、日本のKC-46に赤外線追尾の要撃ミサイルを無効化する、LAIRCMとかDIRCMとか呼ばれる装備を搭載して売却することが明記されている点です。
DIRCMは「Directional Infrared Countermeasure system」で、LAIRCMは「Large Aircraft Infrared Countermeasures system」の略です
国務省DSCAの発表によれば
●日本にFMSで4機のKC-46Aと関連装備を推計約2000億円で売却を許可する。
●それぞれの機体には2つのPratt &Whitney製のModel 4062 (PW4062)ターボファンエンジンを搭載し、1基の予備エンジンも含まれる
●関連装備として、GPSレシーバーと航空機防御システムを搭載し、GPSレシーバーはレイセオン社のMiniaturized Airborne GPS Receiver (MAGR) 2000で、ハッキングやサイバー攻撃対処能力を付与するもの。(注:他にも無線機や敵味方識別装置や訓練装置や支援サービスや関連取り扱い操作書等も含まれています)
●航空機防御システムは、レイセオンのALR-69A Radar Warning Receiver(RWR)と、Northrop Grummanの赤外線ミサイル妨害装置(LAIRCM又はDIRCM:AN/AAQ-24(V))である
●赤外線ミサイル妨害装置は以下により構成されている
three Guardian Laser Terminal Assemblies (GLTA)
six Ultra-Violet Missile Warning System (UVMWS) Sensors AN/AAR-54
one LAIRCM System Processor Replacements (LSPR),
one Control Indicator Unit Replacement,
one Smart Card Assembly, and one High Capacity Card
赤外線ミサイル妨害装置(DIRCM)とは
●機体全周をカバーするセンサーで、航空機に向け発射された要撃ミサイルを探知し、同ミサイルにレーザー光線を照射することにより、赤外線追尾ミサイルであった場合はミサイルの赤外線探知追尾センサーをマヒさせて無効化する装置
●Northrop Grumman製の同装置(AN/AAQ-24(V))は、軍用大型機やヘリに搭載され、米軍や英国軍特殊部隊のC-130輸送機等を中心に約750台が提供されているが、カタールの政府専用機などVIP専用機にも搭載されている
●同社は、同製品が現時点で世界で唯一、世界中のテロリストや第3国までもが使用するようになっている、最新の赤外線追尾ミサイルに対して有効な妨害装置だと宣伝している
●同社の他に、イスラエルのElbit社が同様の装備を、19機種に計約100台出荷していると宣伝している。
原理が同じElbit社のDIRCM装置宣伝映像(約2分)
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その道に詳しい方には「そんなの当たり前・・」と言われそうですが、米国から無理矢理売りつけられたのかもしれませんが、それでも戦闘機以外の重要装備にこのような自己防御装置が付くことは嬉しいことです
レーザー自己防御装置がそれなりに成熟したら、レーダー誘導ミサイルにも対処できそうですから、そちらへの配慮も忘れないようにして欲しいものです。航空自衛隊様!
レーザー自己防御装置の状況
「2021年には戦闘機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-21
「まずC-17搭載レーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-23
「特殊作戦C-130にレーザー兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-31
「米国防次官は慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-12
「開発担当将軍も慎重」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-24